[メキシコ市 9日 ロイター] - バイデン米政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使は9日、メキシコのロペスオブラドール大統領に対して電力市場の国家管理強化計画が貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に違反しないよう要請したことを明らかにした。
ロペスオブラドール氏は、民間企業よりも国営の電力会社を優先する法案を提出。クリーンエネルギーの利用拡大を目指す企業にとって重要な時期に、風力発電や太陽光発電への投資が損なわれるとの批判を受けている。
ケリー氏はロイターに対し、メキシコ市でロペスオブラドール氏らと会談したことについて「非常に建設的」だったと説明。会談で双方は再生可能エネルギーの利益について「多くの合意点を見いだした」という。
一方で、注意すべき点も指摘。「われわれはUSMCAに抵触せず、開放的で競争力のある市場の妨げにならないような改革を行うことが重要だと表明した」とし、「重要なのは投資と参加を呼び込むことだ」と付け加えた。
また、メキシコのエブラルド外相と今後4─5週間にわたって協力し、大規模な再生可能エネルギーの導入に向けた賢明な計画をできるだけ迅速に作成できるかを確認したいとの意向を示した。
米政権は、メキシコのこの法案がクリーンテクノロジーへの投資を妨げるのではないかという懸念を繰り返し表明している。
ケリー氏はこれに先立ち、メキシコが電気自動車や再生可能エネルギーの利用を拡大するために米政府は「できる限りの協力」をする用意があると表明。「メキシコは気候変動の危機に立ち向かうわれわれの取り組みにおいて、極めて重要で桁外れの役割を果たすことができる」と述べた。