[ロンドン 11日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は11日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が産油量を増やせば原油市場が落ち着くとの見解を示した。
ただ、世界的な供給逼迫や生産余力に触れ、変動リスクが高まると強調したことで原油価格は上昇。北海ブレント先物は一時92.75ドルと7年ぶりの高値に接近した。
IEAは月報で「生産余力のある中東の産油国が他の産油国の生産不足を補えば、経済に広範な影響を与える(原油価格の上昇)リスクは低下する可能性がある」とした。
サウジとUAEは産油国の中で生産能力に最も余裕がある。
IEAは石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」が現行の減産協定を完全に解除した場合、市場に日量430万バレルが供給されると指摘。ただ、その場合には年末までの生産余力は日量250万バレルに低下するとした。
OPECプラスは毎月、現行の増産ペースを維持しているが、毎月日量40万バレルずつとの減産幅の縮小目標は達成されていない。IEAによると1月には産油量と目標とのギャップが日量90万バレルに拡大した。
IEAは、OPECプラスによる産油量の長期的な目標未達により、21年初から3億バレル(日量80万バレル)が市場から実質的に失われているとした。
一方、イラン核合意を巡る米国の対イラン制裁が解除されれば、日量130万バレルのイラン産原油が次第に市場に供給されるとした。
また、第1・四半期は需給が均衡するが、第2・四半期から下半期にかけては供給過剰になるとした。