[ウィーン 4日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は4日、ウクライナ南東部にある欧州最大級のザポロジエ原子力発電所一帯への攻撃を受けて記者会見し、近隣の建物に飛翔体が落ちたが、原発の原子炉は損傷を受けず、放射性物質は放出されていないと述べた。ロシアとウクライナに、チェルノブイリ原発での当局者協議の開催を提案したと明らかにした。
グロッシ事務局長によると、飛翔体が建物を直撃した際に警備要員2人が負傷。
「この飛翔体は、ロシア軍から飛んできたと理解している。飛翔体の詳細情報は得ていない」と述べた。現場の放射能監視システムは正常に稼働しているという。
ロシア国防省は4日、ザポロジエ原発一帯への攻撃は「ウクライナの妨害工作員」の仕業だと主張している。
グロッシ氏の度重なる要請にもかかわらず、チェルノブイリ原発の職員は、ロシアの占拠後、交代できていない。グロッシ氏によると、ザポロジエ原発もロシアが占拠しているが、原発はウクライナの職員が今も運用している。
グロッシ氏は、ロシアが占拠しているチェルノブイリ原発でロシアとウクライナの当局者協議の開催を提案。両国は提案を検討中という。
前日にザポロジエ原発付近で戦闘しないよう両国に呼び掛けたグロッシ氏は会見で「非常に懸念している。非常に脆弱で不安定な状況だ」と述べた。