[ブリュッセル 12日 ロイター] - 欧州連合(EU)は、小麦と肥料価格の上昇のほか、バルカン諸国や北アフリカ、中東での食料不足に対処するため食料外交を展開する。また、ウクライナ侵攻の影響に関するロシア側の説明に対抗する方針だ。EU外交筋や関係筋が明らかにした。
EU外交筋は、食料不安が脆弱な国々に「憤り」をもたらしているものの、ロシア政府は今回の危機について、西側諸国による対ロ制裁の結果だと説明していると指摘。このことがEUの影響力を脅かす可能性があることから「食料外交と情報戦」で立ち向かう考えを示した。
EUは食料不足による影響を緩和するための世界的な取り組みとして、12日に世界食糧計画(WFP)と共に新構想を発表する。
EU域内最大の農業生産国フランスは、貧困国への世界的な食料分配制度などを柱とする「ファーム(FARM)」構想を推進している。
フランスのルドリアン外相は12日、同国がEU議長国としての任期が終了する6月末までにファーム構想の国際的合意を目指すと明らかにした。
EU外交筋は、ロシア側の食料危機に関する発表が偽情報だと受け止めており、EUはロシアとの食品取引は規制していないと話した。
EUの対ロ輸出規制は通常、食品を除外。肥料は制裁対象で、ベラルーシとロシアによる輸出を制限している。 ルドリアン氏は「将来の食料危機のリスクを生み出しているのは制裁ではなく、ロシアのウクライナ占領だ」と指摘した。