[コロンボ 9日 ロイター] - スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ首相は9日、史上最悪の経済危機の打開に向けた連立政権に道を開くために辞任した。抗議デモの参加者は首相の弟の大統領辞任も求めている。
首相の辞任は、最大都市コロンボで与党支持者が反政府デモの陣営を襲撃し、警察に催涙ガスと放水銃で撃退された数時間後に発表された。
全国的な夜間外出禁止令も発令された。首相の弟、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は先週、抗議行動が激化する中で非常事態宣言を出していた。
人口2200万人の島国、スリランカでは、長引く停電に加えて燃料、調理用ガス、医薬品などの必需品不足に苦しんでおり、政府が使える外貨準備高はわずか5000万ドル程度に陥っている。
状況悪化の中で、スリランカの住民は街頭でおおむね平和的な抗議行動を繰り広げ、ラジャパクサ一族の退陣を要求している。
ロイターが閲覧した辞任書簡で、首相は暫定の連立政権樹立を支援するため辞任すると表明。「複数の関係者が、現在の危機に対する最善の解決策は暫定的な全党連立政権の樹立だと指摘している」とし、「したがって、私は憲法に則って次の段階を踏むことができるよう辞任を申し出た」と記した。
政府のナラカ・ゴダヘワ報道官は閣僚が総退陣したと説明。ロイターに対し「大統領は他の政党に対して連立政権を樹立することを呼びかける」とし、「大統領は独立系や野党と協議し、数日中に新政権が誕生する見込みだ」と語った。
コロンボの街角では国旗を掲げた自動車や、クラクションを鳴らす車が衝突の起きた海辺の遊歩道を走り、歓喜のムードに包まれた。
首相公邸の外で、オシャ・デ・シルバさんは首相辞任を祝う数百人のデモ参加者の一人として、大統領の辞任も望んでいると語った。両手で国旗を握りしめながら「ラジャパクサ政権は腐敗している」とも述べた。
政府は国際通貨基金(IMF)に支援を要請しており、IMF当局者と緊急支援確保のためオンラインサミットを9日に始める予定だ。
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