[シドニー 12日 ロイター] - 米国と国際エネルギー機関(IEA)は12日、アジア諸国はエネルギーや重要資源の供給を中国やロシアなどに依存しないようサプライチェーン(供給網)を多様化する必要があると訴えた。
IEAのビロル事務局長とグランホルム米エネルギー長官はシドニーで開かれたイベントで、対ロシア制裁に伴う現在のエネルギー危機について、インド太平洋諸国が化石燃料からの移行に一層取り組むきっかけになるはずだと指摘。
グランホルム氏は「石油独裁者や価値観を共有しない人々、供給網の戦略的側面を支配しようとする人々の言いなりにならないようにする必要がある」と述べた。
両氏は、ロシアのエネルギー供給が途絶えたことを教訓に、技術や燃料を一国に依存することは避けるべきと主張。
ビロル氏は、太陽光技術の世界供給網の80%を中国が占め、2025年までに95%に拡大すると指摘。「1つの製品、1つの技術、1つの国に全世界が依存するというのは、エネルギー安全保障の観点から誰もが考えねばならないことだ」と述べた。
グランホルム氏は記者団に「中国は多くの技術や供給網を独占している。われわれは自国の供給網を整備しなければ脆弱になってしまうと懸念している」と述べ「エネルギー安全保障の観点から、同じ価値観を持つ国々が、気候問題だけでなくエネルギー安全保障のためにも独自のサプライチェーンを開発することが不可欠だ」と述べた。
エネルギー供給について、ビロル氏は、数年後にようやく稼働する大規模な化石燃料投資を計画している企業は、世界がクリーンなエネルギーに移行する中で気候リスクと投資家への事業リスクを考慮する必要があると指摘した。
グランホルム氏とオーストラリアのボーエン気候変動エネルギー相は12日、エネルギーの長期貯蔵や水素製造のコスト削減などの研究で協力する協定を締結した。