[29日 ロイター] - ロシア政府は29日、国連が仲介した黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意への参加を停止した。ウクライナがクリミア半島に大規模なドローン攻撃を仕掛けたことが理由と説明している。
黒海経由の輸出再開は、世界的な食料不足緩和を目的に、ウクライナとロシアが国連とトルコの仲介で合意していた。
バイデン米大統領は「理不尽で言語道断」と非難。飢餓が拡大すると主張した。
ロシア国防省は、ウクライナが29日早く、ドローン16機でクリミア半島セバストポリ近郊の黒海艦隊を攻撃したと主張。英国の「専門家」が「テロ」攻撃の調整を支援した批判している。
ロシアが輸出再開合意への参加を停止したことで、黒海を通じたウクライナ産穀物の輸出が止まることになる。
ロシア政府は国連のグテレス事務総長への書簡で「民間船舶の安全を保障」できないため「無期限」で合意への参加を停止すると表明した。
英政府は29日、ロシアの主張に反論し、ロシア軍の失敗から注意をそらすための試みだと主張した。ロシアは、英海軍が先月、ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム」の爆破に関与したとも主張している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの穀物輸出合意の停止について、国連と主要20カ国・地域(G20)による強力な対応が必要だと主張。
欧州連合(EU)は、穀物輸出合意は人道的に重要な取り組みであり「(合意を)危機にさらす一方的な措置を全ての関係者が慎むべきだ」と表明した。