[ブリュッセル 24日 ロイター] - 欧州連合(EU)加盟国は24日、ロシア産石油の価格に上限を設定する措置を巡り協議を続けたが、上限価格の水準で見解の相違が埋められていないことが外交筋の話で分かった。加盟27カ国のうち6カ国が主要7カ国(G7)が提案した水準に反対しているという。協議は25日も継続される可能性がある。
G7はロシア産石油の価格上限を1バレル当たり65─70ドルに設定するよう提案。EU内にこの水準は高すぎるとの見解と、低すぎるとの見解があることで23日の協議では合意が得られず、討議は持ち越しとなっていた。
12月5日に予定されている上限価格の発効を前に、24日はEUの執行機関である欧州委員会、EU議長国のチェコ、G7議長国のドイツに加え、米国が見解の相違を埋めるために討議を実施。外交筋は「現在、極めて高いレベルで多くの二国間協議が行われている。進展が得られれば、EU全体の代表が集まる会合が開かれる」と述べた。ただ「進展がなければ会議を招集する意味はない」とも語った。
外交筋によると、ポーランドはロシアの石油生産コストは1バレル当たり20ドルと推定されるとして、上限を30ドルに設定するよう提案。リトアニアとエストニアもこの案を支持している。
ポーランド政府代表は「原則的にロシア産石油の価格上限設定を支持するが、提案された水準は高すぎる」と述べた。
これに対しキプロス、ギリシャ、マルタは提案されている上限価格の水準は低すぎると主張。上限設定による損失への補償や調整期間の延長を要請している。
ロシアのウラル原油は現在1バレル=68ドル前後と、提案されている上限価格のレンジ内で取引されている。ユーロインテリジェンスは「提案されている上限価格はロシア産石油が一般市場で取引されている価格と同水準か、それより若干高いということになる」とし、価格上限として機能しない可能性があるとの見方を示した。