[ワシントン 30日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は30日、米議会図書館で与野党の議員団と会談し、バイデン政権が成立させたインフレ抑制法に盛り込まれた補助金措置が欧州企業にとって「極めて攻撃的だ」と訴えた。会談参加者の1人がロイターに明かした。
マクロン氏は翌日に予定されるバイデン大統領との会談でもこの問題を取り上げる見通し。
インフレ抑制法には米国産の製品に多額の補助金を支給する項目があり、欧州各国の指導者は不満を募らせている。外国企業に競争上の不公正さをもたらし、ロシアのウクライナ侵攻に伴う悪影響に苦しんでいる欧州経済に深刻な痛手を与えると懸念しているからだ。
一方、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、インフレ抑制法は欧州企業に大きな商機を提供しているだけでなく、欧州連合(EU)のエネルギー安全保障にとって有益だと指摘。同法には、世界全体のクリーンエネルギー分野の成長に寄与する項目があると付け加えた。
マクロン氏は米議員団との会談に先立つ記者会見では、フランスと米国は国際通貨基金(IMF)と世界銀行の改革で協力し、気候変動によって被害を受けている諸国に直接資金が振り向けられるようにするべきだと強調した。
フランス政府高官は、マクロン氏が米与野党双方の議員と会談したことについて、先の中間選挙で野党共和党が下院を制したことを踏まえ、米国との連携強化に向けてバイデン政権以外の勢力への働きかけが必要と認識している表れだと説明した。