[サンティアゴ 20日 ロイター] - 世界の銅需要は向こう10年で供給を超過し、新しい鉱山が開発されない限り、グリーンエネルギー移行の取り組みにも打撃を与えかねない――。今週開催された世界銅会議では、業界幹部やアナリストからこうした懸念が示された。
銅に対する新規需要の大半は、電気自動車(EV)関係となる見通し。EVは内燃エンジン車に比べて銅の使用量がはるかに多い。このため供給が不足すればEVメーカーは、想定していた量の銅を利用できず、アルミニウムに頼る事態にまでなりかねない、とアナリストは警告する。
アルミは銅より軽く割安だが、腐食しやすい上に強度が足りない。また熱伝導率も60%程度にとどまる。
国際銅協会が今週公表したデータによると、世界の銅供給は2035年まで年間26%増えて3850万トンに達するものの、リサイクルの拡大を考慮しても需要量と比べて1.7%足りなくなる。
金属取引を手がける大手商社トラフィギュラのジェレミー・ウェア最高経営責任者(CEO)は「われわれが十分な銅を確保できないと、エネルギー移行のサイクルに深刻な支障が生じる恐れがある」と警告した。
鉱業機械メーカーのFLスミスのジョシュア・マイヤー氏は、銅やその他の金属の供給が増えない限り、温室効果ガス排出量を減らして地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて摂氏2度未満に抑えることを目指す「パリ協定」の達成はどう見ても無理だとの見方を示した。
ゴールドマン・サックスの調査に基づくと、規制当局による新規の銅鉱山開発承認件数は過去10年で最低に落ち込んでいる。ゴールドマンの想定では、銅需要の急拡大によって価格は25年までに現在より67%高いトン当たり1万5000ドルに跳ね上がる見通しだという。
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