[モスクワ 13日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は13日、黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)からの離脱を検討していると明らかにした。西側諸国はロシアの農産物を世界市場に供給するという約束を何一つ履行していないとし、「だまされた」と非難した。
黒海イニシアティブはロシアのウクライナ侵攻で悪化した世界的な食料危機に対処する措置で、国連とトルコが仲介して昨年7月にまとまった。ウクライナ産穀物の海上輸送再開を可能にするものだが、ロシアの農産物や肥料の輸出を支援する期間3年の協定も同時に締結された。
しかし、プーチン氏は西側諸国が不誠実で約束が守られていないと指摘。ロシアの戦場記者や軍事ブロガーとの会合で「残念ながら、まただまされた」と述べ、合意離脱を検討していることを明らかにした。
ロシアの食料・肥料輸出は制裁の対象になっていないものの、ロシア政府や主要な穀物・肥料輸出企業は支払いや物流、保険に関する西側の制限措置が出荷の障害になっているとしている。
国連のステファン・ドゥジャリク報道官は13日、ロシアの輸出円滑化に向けた国連の取り組みに幾分の進展があったとした上で、複数の障害が残っていると述べた。
米国は世界の食料供給を脅かすとしてロシアに合意から離脱しないよう求めた。
プーチン氏は世界の最貧国に無償で穀物を供給する用意があるとし、近々ロシアを訪問するアフリカの指導者らと協議する方針を示した。
穀物合意の現状について「アフリカ諸国にはほとんど何も供給されていない。ロシアは何度も延長に合意しているが、その見返りは何もない」と不満をあらわにした。
穀物輸出合意はロシアが延長に同意しなければ、7月17日で期限切れとなる。