[ロンドン 14日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は14日、パンデミック後の景気回復による石油需要の増加は今年で終わり、2024年以降は経済的困難とクリーン燃料への移行が成長を鈍らせるとの見方を示した。
ビロル事務局長は「クリーンエネルギー経済への移行が加速しており、電気自動車やエネ効率化などの技術進歩により、世界石油需要のピークはこの10年間の終わりまでに見えている」と述べた。
IEAは月報で、23年の世界石油需要は中国とインドの旺盛な需要を背景に日量240万バレル増加し、過去最高の日量1億0230万バレルに達すると予測。ただ、伸びは来年が経済的な逆風で約3分の1の日量86万バレルに縮小し、電気自動車の普及で28年には日量40万バレルまで減少することで全体の需要は日量1億0570万バレルになると予想した。
石油・ガスの探査、抽出、生産など上流部門への世界の投資は今年は15年以来の高水準となる5280億ドルに達する見込み。28年末まで十分な供給を維持する軌道にあるとした。
50年までに世界で温室効果ガスの排出を実質ゼロ(ネットゼロ)とする目標に向け投資家は新たな石油、ガス、石炭の供給プロジェクトに資金提供すべきではないという見解は今回は示さず、現在の投資額が「ネットゼロの軌道に乗る世界で必要とされる量を超えている」と指摘。「IEAの2050年までのネットゼロシナリオに沿って、石油総需要が早期に減少するためには、追加の政策措置と行動の変化が必要」と述べた。
経済的逆風によって、需要の伸びは来年は日量86万バレル、28年には同40万バレルに縮小すると予想し、「減速ペースはエネルギー安全保障上の懸念が高まる中でのロシアのウクライナ侵攻と、各国政府のコロナ後の復興支出計画によって速められている」とした。
バイオ燃料、石油化学原料、その他非エネルギー用途を除いた可燃性化石燃料による石油需要は28年に日量8160万バレルでピークに達する見通しという。