Kate Abnett
[ブリュッセル 4日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州議会の環境委員会は4日、フクストラ元オランダ外相をEUの気候変動対策の次期責任者とする人事案を承認した。またフクストラ氏の上席として政策全般を調整するポストにシェフチョビッチ欧州委副委員長を指名する人事案も承認した。
両氏の正式承認には5日の欧州議会本会議での人事案可決が必要。ただ複数の議員によると、環境委員会で承認を得たことから人事案は本会議を通過する見通し。
両氏は今週初めの議会公聴会で支持を固められなかった。このためフクストラ氏が化石燃料関連のEU補助金額を公表し、化石燃料の段階的廃止に関する国連協議で一段と強い態度をとることを改めて約束し、支持拡大を図った。
シェフチョビッチ氏は、EUがマイクロプラスチック汚染と動物福祉に関する規制を今年新しく設けることを確約した文書を4日に複数の議員に提示した。ロイターが文書を入手した。EUはこれまでマイクロプラスチック汚染などを巡り、密かにこうした規制の棚上げを図っていると一部の議員から批判を浴びていた。
ただ、シェフチョビッチ氏は、有害化学物質の新規制を導入するかどうかや、導入するとした場合の時期については明言を避けた。その上で、少なくとも来年6月の欧州議会選までは埋め立て処理が続くと示唆。大がかりな気候変動対策を支持する一方で、EUが環境保護や化学物質対策を強化すれば産業界の負担が増すと懸念する中道右派議員の間に安心感が広がった。
また、フクストラ、シェフチョビッチの両氏は「食生活の変化」がどのように気候変動目標の達成に寄与するのかを模索すると述べ、政治的に困難な課題が控えているとの見方を示した。畜産業の温室効果ガス排出や、食肉を巡るカーボンフットプリントを巡ってはオランダや旧EU加盟国の英国などで激しい政治論争が起きている。