Muyu Xu Sudarshan Varadhan
[シンガポール 24日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)の貞森恵祐エネルギー市場・安全保障局長は24日にロイターのインタビューで、石油市場安定のために必要な場合でも加盟国の現在の戦略的石油備蓄量は十分な量があると見ており、さらに増やす必要はないとの見解を示した。
10月上旬にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃後に原油価格は1バレル=95ドル超まで高騰し、2022年のロシアのウクライナ侵攻後の石油市場にとって最も重大の地政学的リスクの一つとなっている。
IEAの加盟31カ国は22年、ウクライナ侵攻による市場の混乱に対応するため、緊急備蓄から2回に分けて合計1億8270万バレルを放出した。
貞森氏はシンガポールでの業界イベントに合わせたインタビューで、戦略的石油備蓄量の拡大について「今のところ、そのようなことをする必要はないと思う」としつつ、「私たちは状況を注視していく」と語った。
IEAは加盟国に対し、石油純輸入量の少なくとも90日分に相当する石油を備蓄し、世界の石油市場に影響を及ぼす深刻な供給停止に協調して対応できるよう準備することを求めている。現在、加盟国の戦略備蓄は計約12億バレルとなっている。
貞森氏は、中東情勢による実際の供給への直接的な影響はこれまでのところないとのIEAの2週間前のコメントを繰り返した上で「しかし、今後の展開については警戒する必要がある」と述べた。