欧州連合（EU）は14回目となる対ロシア制裁を採択した。EUがロシアのガス部門を対象としたのは今回が初めて。月曜日に合意された新たな制裁措置は、対象を69の団体と47の個人に拡大し、制裁対象の総数は2,200を超える。
制裁の主な対象は、ロシアの国営海運会社ソフコムフロートとそのCEO、そして中国、カザフスタン、キルギス、トルコ、アラブ首長国連邦にまたがるさまざまな企業である。EUは、9カ月の移行期間を経て、ロシアの液化天然ガス（LNG）の積み替えのための港の使用禁止を導入した。さらに、北極圏LNG 2やムルマンスクLNGなど、建設中のLNGプロジェクトの完成に向けたEU事業者による新規投資や物品、技術、サービスの提供も制裁により禁止されている。
海運分野では、EUは、ロシアの戦争行為に貢献した船舶の入港や入港を禁止している。これには、ロシアに大きな収益をもたらす商品、防衛・安全保障分野で使用される商品や技術の輸送、G7石油価格上限制度外の燃料の輸送などが含まれる。現在までに、27隻の船舶がこの制裁の枠組みに含まれている。
EUはまた、EU域外の事業体が制裁を回避した場合、EU域内の事業者に責任を負わせることで、制裁違反の取り締まりを行っている。事業者は、戦場で使用される可能性のある、あるいはロシアの軍事力にとって重要な機密物資を輸出するリスクを特定し、軽減するためのデューデリジェンス・システムを導入することが期待されている。コンプライアンス違反は、事業者の責任となる可能性がある。
政党、財団、シンクタンク、メディア・プロバイダーは、ロシアから直接または間接的に資金提供、寄付、その他の経済的利益を受けることが禁止されている。6月6日から9日にかけて行われたEU議会選挙を前に、「ボイス・オブ・ヨーロッパ」、「RIAノーボスチ」、「イズベスチヤ」、「ロシイスカヤ・ガゼータ」などのメディアが制裁対象メディアリストに追加された。
ロシアからのヘリウムの輸入は禁止され、マンガン鉱石、レアアース、掘削機械、電気機器など、ロシアの産業を強化する可能性のある商品の輸出にもさらなる制限が加えられた。
EUは、2025年3月1日まで、ロシアからのダイヤモンド原石および研磨済みダイヤモンドの輸入に関する完全トレーサビリティ制度の実施を延期した。さらに、第三国で加工されたロシア産ダイヤモンドを使用した宝飾品の輸入禁止措置は、G7での措置に沿って再評価される。この禁止措置は、禁止措置の施行前にロシア国外にあったダイヤモンドや第三国で研磨されたダイヤモンドには適用されない。
輸送に関する措置も強化され、ロシア便の禁止が拡大され、ロシアの個人または団体が着陸場所や時間を決定する航空機が対象となった。道路による物資の輸送は、ロシアの個人または企業が25％以上所有する企業を除外するようになった。
最後に、ロシア国外にあるEUの銀行は、世界的な決済システムであるSWIFTに代わるロシアの決済システムを利用することができなくなった。EUはこの措置を拡大し、ロシアのSPFSシステムに接続しているロシア以外の第三国の銀行がEUの事業者と取引を行うことを禁止する可能性がある。
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