[東京 14日 ロイター] 来週の東京株式市場は上値が重そうだ。米企業決算を受けた株価に左右される展開が予想される。スロバキア議会の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)拡充案の批准で欧州財政危機への過度な不安は後退したものの、欧州金融機関への資本増強問題が上値を抑える見通し。上昇局面となっても、外為市場で円高が続いていることや機関投資家の売りなどが見込まれ、上値を追う展開にはなりにくいとみられている。
日経平均の予想レンジは8500─9000円。
17日―21日は、米企業決算が本格化する。シティグループ
一方、スロバキア議会は13日、EFSF拡充案の批准を可決した。これにより、リスク回避の動きがやや緩和され、11日―14日の東京市場では買い戻しが続いた。テクニカル的にも、25日移動平均線と5日移動平均線がゴールデンクロスしており、下値不安感は乏しいほか、シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・ インデックス(VIX指数)<.VIX>が低下基調となるなど、過度な不安感は後退している。ただ、日経平均は8800円付近に戻しているが、同水準から上値は追いにくいとみられている。
欧州銀行監督機構(EBA)が進めている欧州連合(EU)域内の金融機関のストレステスト(健全性審査)で9%の「狭義の中核的自己資本(コアTier1)比率」が求められた場合、ドイツ銀行
高値圏では戻り売り圧力が強い。三田証券株式営業部長の倉持宏朗氏は14日、「先物の上値の売り注文が厚く伸び悩んでいる。大手ヘッジファンドからの資金流出観測もあり需給面ではまだ安心できない」と述べた。また、外為市場ではドル/円が76円台で定着。国内企業は81円付近を想定していることから、円高が続けば業績悪化が懸念される。先の欧州系証券のトレーダーは「上昇局面では円高が売り材料」との見方を示す。さらに、機関投資家による売りも上値を抑えるという。
経済指標では、10月独景気期待指数(ZEW)、第3・四半期中国国内総生産(GDP)、9月中国鉱工業生産・小売売上高(いずれも18日)、10月米フィラデルフィア地区連銀業況指数(20日)、10月独IFO業況指数(21日)の発表が予定されている。
(ロイターニュース 吉池 威)