[東京 7日 ロイター] - 日銀が7日に公表した7月29─30日の「金融政策決定会合における主な意見」によると、世界経済の下振れリスクが強まる中で、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれる状況が懸念される場合には、躊躇(ちゅうちょ)なく金融緩和措置を講じるべきとの意見が示され、予防的な金融緩和の必要性に複数の政策委員が言及している。緩和策の検討にあたっては、副作用への配慮が重要との主張も出た。
会合では、金融政策の現状維持を賛成多数で決めたが、海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きいとの認識を示し、物価上昇のモメンタムが「損なわれる恐れが高まる場合には、躊躇(ちゅうちょ)なく、追加的な金融緩和措置を講じる」ことを声明文に明記した。
主な意見でも、日本の経済・物価の下振れリスクが大きいとの認識のもと、「リスクに対応するべく、躊躇なく必要な政策を適切に実施する、という情報発信が肝要」「モメンタムが損なわれることが予見される場合には、躊躇なく金融緩和措置を講じるべき」などの意見が示された。
こうしたリスクの顕在化を未然に防ぐための「予防的」な金融緩和の必要性にも複数の委員が言及。「現時点において、物価の下振れリスクに対して予防的・先制的に政策対応することが重要」との指摘や、「(物価)2%から距離のある日本こそ、いわゆる予防的金融緩和論を検討する必要あるのではないか」などの主張が展開された。
一方、日銀による金融緩和は「すでに欧米以上に強力」とし、「さらなる緩和が必要かどうかについては慎重な検討が必要」との意見もあった。
ある委員は「緩和策についても予め検討しておくべき」と述べ、具体的な緩和手段の検討を進めることが必要と指摘した。
一段の金融緩和による金融システム面への悪影響など副作用の強まりを踏まえ、追加策の検討に際しては「量・質・金利を始め様々な緩和策などについて、利害得失を検討する必要がある」、「副作用によって効果が損なわれてしまう可能性も念頭に置いて、慎重な点検や設計を行うことが重要」などと副作用への配慮の必要性を複数の委員が主張している。
(伊藤純夫)