[ブリュッセル 2日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は2日、新型コロナウイルスによるEU経済への打撃を和らげるため、一連の支援策を打ち出した。労働時間の短縮策のほか、農業や漁業者の資金繰り支援策を含む。
仕事がない期間に企業が従業員を解雇することを防ぐため、欧州委はドイツの労働者保護策を全加盟国が採用することを提案した。企業は従業員を解雇するのではなく、労働時間を減らす。消費支出を支えるために従業員の給料減額分は政府が支払う。
欧州委のフォンデアライエン委員長は記者会見で「この枠組みを活用したい加盟国全てが恩恵を受ける」と述べた。
労働者保護対策を賄うために欧州委は、EUのトリプルA格付けによる250億ユーロの保証を使って1000億ユーロを借り入れ、加盟国に低金利で貸し出す。加盟国の多くは格付けがトリプルAより低い。
EUの共通農業政策の下、農家は直接支払いを受給できる。欧州委は支払い額を増やすこと、また申請期間を長くすることを提案した。
一時的に失業した漁師には海洋漁業基金(EMFF)の下、報酬の最大75%を支払い、残りは各国政府が出す。サケ養殖業者や同様の事業にも同じような支援を提供する。
高速道路や橋などのインフラ計画において加盟国は通常、EUから融資を受ける場合、政府も資金を出す必要があるが、欧州委はこの要件を免除することを提案。EUが全額融資することになる。
欧州委は「前例のない対策だ。加盟国があらゆる手段を活用し、国民を支援する必要性を示している」と述べた。