[ロンドン 15日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のウッズ副総裁は15日、深刻な景気悪化シナリオの下でも、英国の銀行は貸し出しを継続する資金が十分にあるとの認識を示した。
議会の財政特別委員会で述べた。
ウッズ副総裁は、昨年の企業向け純貸出160億ポンドを大幅に上回る最大1900億ポンドの貸し出しを支援するため、中銀は銀行に資本バッファーのうち230億ポンドを利用することを認めたと説明。「銀行部門は潤沢な資本を備えた状態でこの局面に入る」と述べた。
また、英予算責任局(OBR)が14日に示した景気シナリオについて、中銀が昨年実施した銀行ストレステスト(健全性審査)より全体的に深刻な悪化を想定しているかどうか「決して明白ではない」と述べた。
OBRは英経済が4─6月に35%のマイナスに陥り、失業率は10%に上昇するとの試算を示した。その後は急速に回復する可能性があるものの、それでも年間では13%のマイナスになると試算した。
ウッズ副総裁は「資本という観点からみて、銀行には十分な能力がある」とし、政府による「大規模な支援策」も銀行システムへの影響を軽減すると指摘した。
中銀で銀行監督を統括するサラ・ブリーデン氏は、大企業の間で信用枠から多額の資金を引き出す動きが見られるものの、企業は今のところ引き出した資金を使っていないと指摘。「大企業に関しては、短期的にデフォルト(債務不履行)リスクが迫っている印象はない」と述べた。