[北京 22日 ロイター] - 中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の黄洪副主席は22日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済への打撃により、第1・四半期はローンのデフォルト(債務不履行)や延滞、不良債権がすべて増加したと指摘した。
銀保監会は不良債権率は現在2.04%とし、第2・四半期も引き続き上昇するとの見方を示した。ただ、急速な上昇にはならない見通しとした。
黄副主席は「新型コロナは中国の経済と社会発展に前例のないショックを与えた」と表明。
銀保監会のリスク責任者である肖遠企氏によると、第1・四半期の不良債権処理額は4500億元以上と、前年同期から810億元増加した。
ただ銀行部門は依然として、リスクに対応できる「強力な力」を維持しているという。
アナリストの間では、中国の銀行の実際の不良債権額は公表をはるかに上回るとの見方が多い。
黄副主席によると、銀行部門は小規模事業者向けの融資8800億元(1242億1000万ドル)について元利払いを猶予した。
第1・四半期は、特に中小企業向けの融資が急増し、3月末時点の融資残高は前年同期比25.93%増の12兆5500億元となった。
コロナ対策関連の新規融資は第1・四半期に2兆5000億元(3528億7000万ドル)を超えたという。
<保険会社も打撃>
銀保監会は、世界の資本市場のボラティリティーによって、保険資本の投資リターンを巡り不透明感が生じていると指摘した。一方、保険部門の流動性は安定しており、衝撃に対応する一助になるとの見方を示した。
第1・四半期の保険料収入は2.3%増の1兆6700億元。第1・四半期の保険金支払い額は3019億元だった。
<中小銀行の再編>
銀保監会の曹宇副主席は、中小銀行への対応を強化すると表明。国内に4000行以上ある中小銀行の改革と統合を加速する方針を示した。
同副主席は「中小企業の影響も相対的に明らかだ」とし「今年は中小銀行の改革・再編がさらに激しくなる。特に市場原理に基づく再編という分野ではそうなるだろう」と述べた。
銀保監会は、金融詐欺、不動産への不正資金流入、顧客データの流出などに厳しい姿勢で臨むと改めて表明。新興コーヒーチェーン、ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲) (O:LK)の不正会計問題が教訓になると述べた。[nL4N2BR03K]
国内銀行の同社への投融資額は少なかったという。
*内容を追加しました。