[12日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は12日、今年下期に米経済が回復し始めるには新型コロナウイスの検査や治療でさらなる進展が見られ、人々が安全を感じられるようになる必要があるとの見解を示した。
インターネットを通じた講演で「外出規制の一部解除に伴い、今年下期に経済が再び成長し始め、失業率が低下し始めるというのが妥当な基本シナリオだ」と述べた。
その上で、新型コロナの検査や治療で必要な条件が整わなければ、感染者が急増し、再び事業閉鎖を余儀なくされたり、企業破綻の増加や銀行セクターの不安定化につながるなど、より悲観的なシナリオも「ほぼ同様に起こり得る」とした。
経済活動の再開を目指す企業や州は新たな感染拡大を防ぐため、保健当局の提言に従い、社会的距離を確保するとともにマスク着用や検査を行う必要があると指摘した。
また「条件は非常に多く、結果に対するリスクはかなり大きい」とし、最も悲惨な結果を回避するには追加の財政支援が必要になるとの認識を示した。「政策当局者が引き続き、経済を監視し、家計・企業への信用フローや金融市場の円滑な機能を支援していくことが賢明と考える」と語った。
米実質国内総生産(GDP)については第2・四半期に25─40%減少する可能性があると予想。4月に14.7%に上昇した失業率は20%かそれ以上にさらに上昇する可能性があるとした。
メスター総裁は、FRBは引き続き市場の安定化に向けて取り組むとした上で、政策ツールとしてマイナス金利を導入することは支持しない考えを示した。
講演後の記者会見で「銀行システムやマネー・マーケット・ファンド(MMF)への影響を踏まえると、私はツールとして利用したくない」と語った。
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