[モントリオール/シドニー 12日 ロイター] - 国際航空運送協会(IATA)と国際空港評議会(ACI)が、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、空港や航空会社がリスクを抑えながら運航を再開するためのガイドラインを策定した。まだ公表されていない文書をロイターが確認した。
文書は、ひとつの安全対策で全てのリスクに対応することはできないと指摘し、多層的な措置を講じるよう提言している。具体的には接触者の追跡、検温、社会的距離、徹底的な清掃やマスク着用を挙げている。
さらに「空の旅の安全に対する信頼を取り戻しつつ、運航再開を成功させることが、世界経済が新型コロナから立ち直る大前提だ。通常時には、航空産業は世界の総生産(GDP)に2兆7000億ドル寄与している」と強調している。
IATA、ACIはともに同文書について具体的なコメントを差し控えたが、世界全体で一貫したアプローチを取れるよう、業界のパートナーと協力していると表明した。
世界中の多くの航空会社や空港がマスクの着用を義務付けたり、真ん中の座席を空席にするなどの対策を取っている。こうした措置を政府が義務付けている国もある。
IATAとACIは、空港でのウイルス検査や抗体検査については、抗体によって新型コロナの免疫ができることがまだ実証されていないこともあり、実行可能な解決策ではないとしている。
空港に出入りする際の検温は、微熱の場合や潜伏期間中に見逃してしまう可能性があり、100%の効果は見込めないと指摘。
「運航再開に伴う全てのリスクをひとつの対策で低減することはできない」と結論づけた上で、それでも、可能な対策を組み合わせて多層的な対策を講じれば、リスクの低減と、早期の経済封鎖解除・運航再開の必要性のバランスを効果的に取ることができるとの見解を示した。