[東京 15日 ロイター] - アジア時間15日午後の原油先物は一段高。国際エネルギー機関(IEA)が世界の原油在庫は今年後半に減少すると予想したことを受け、オーバーナイトで大幅に上昇した後、中国の需要増加を示すデータを好感してさらに上値を伸ばしている。世界的な供給過剰が解消に向かうとの期待が高まっている。
0333GMT(日本時間午後0時33分)時点で北海ブレント先物 (LCoc1)は0.39ドル(1.3%)高の1バレル=31.52ドル。前日は7%近く上昇していた。ブレントは先週まで2週連続で上昇しており、今週も1.8%上昇する見通し。
米WTI先物 (CLc1)は0.19ドル(0.7%)高の27.75ドル。前日には9%上昇していた。週間では12%超上昇し、やはり3週連続の上昇となる見通し。
これまで、石油輸出国機構(OPEC)や他の主要産油国による減産を示す兆候が原油相場を支援してきたが、需要サイドにも明るい兆しが出始めている。
中国国家統計局が15日発表した4月の原油精製量は1年3カ月ぶりの低水準だった前月から回復した。新型コロナウイルス感染拡大を阻止するためのロックダウン(都市封鎖)が緩和され、燃料需要が高まった。
ただ、市場のムードは楽観からは程遠い。新型コロナの世界的感染拡大に沈静化の兆しは見られず、ロックダウンを緩和した国の一部では、新たな集団感染が発生している。
INGリサーチのアナリストはノートで「市場のファンダメンタルズは明らかに改善している。しかし、依然として供給が過剰な状況にあることを踏まえると、短期的には上値は限定的だ。市場が消化しなければならない在庫が大量にある」と指摘した。
OANDAのシニアアナリスト、エドワード・モヤ氏は「米経済見通しが改善し、なおかつ下方リスクの一部が緩和されるまで、WTIは30ドルをなかなか上回ることができないだろう」と述べた。
*内容を更新しました。