[シドニー 7日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のエリス総裁補は7日、ビクトリア州でのコロナ感染者の急増が同国全体の景気見通しを悪化させたと指摘、景気回復は期待するよりも緩慢になり、失業率は複数年にわたり高止まりするとの見方を示した。
RBAの基本シナリオでは豪経済が2020年に6%のマイナス成長に陥るとしている。
しかし、ビクトリア州で感染者が急増し主要都市メルボルンに再びロックダウンが導入されたため、回復ペースが鈍る可能性がでてきた。
エリス総裁補はウェブキャストでの講演で「ビクトリア州で感染拡大が深刻化し、ステージ4の規制が実施されるとは予想していなかった。これは、パンデミック下でいかに事態が急変し得るかを示す」と述べた。
演に先立ちRBAが発表した四半期金融政策報告では、ビクトリア州が最近導入した感染防止策により、第3・四半期の国内総生産(GDP)が少なくとも2%ポイント押し下げられると予想。[nL4N2F90LT]
来年は回復を見込むものの、ペースは従来想定より鈍いとして、成長率予想を7%から4%に引き下げた。2022年の成長率も5%から4%に予想を下方修正した。
エリス氏は「当初の経済の縮小幅は小さめだったが、これに続く回復は時間がかかる公算が大きく、失業抑制での進展は鈍いだろう」とし「回復は鈍く、平たんではないとみられ、GDPがコロナ流行以前に想定されていた軌道に戻るには恐らく数年を要する」と述べた。
需要の大幅な落ち込みは労働市場に「とてつもないショック」をもたらすと指摘。「ビクトリア州の活動制限強化が一因となり、雇用者数と総労働時間は今後数カ月にわたり、減少すると予想する」と語った。