[ロンドン 21日 ロイター] - 旅行情報会社フォワードキーズによると、欧州域内の国外航空券販売は8月に回復が停滞した。7月は好調に持ち直していたものの、隔離規制や感染数増加への警戒で不透明感が漂う中、国外へ渡航する人が減った。
同社によると、7月は数カ月におよぶ封鎖措置が終わり旅行者が増え、国外航空券の販売数が2019年の水準の28%まで回復していたが、8月の最初の週までに18%に減少した。
英政府は7月26日、スペインからの入国者へ隔離措置を安全宣言を出したわずか2週間後に再導入。8月にはフランス、クロアチア、オーストリアを2日未満の告知で対象リストに加えた。
スペインでの新型コロナウイルスの感染拡大により、オーストリアやスウェーデン、ドイツがそれぞれスペイン全体や一部への渡航注意を出し、航空便の急回復への期待をくじいた。
欧州で旅客数が最も多い格安航空会社(LCC)大手ライアンエア (I:RYA)は17日、新たな渡航制限ですでに予約に影響が出ており、9月と10月の輸送能力を減らすと発表した。
フォワードキーズのオリビエ・ポンティ副社長は第4・四半期の欧州域内便の予約は前年比70%減になると予想。事態が急速に動いているため、昨年に比べて利用客が計画を先延ばしにし、航空便の検索や予約を出発ぎりぎりまで遅らせていると指摘した。
英国のシャップス運輸相は20日、「予期せず14日間の隔離を命じられても、応じられる場合にのみ旅行すべきだ」とツイッターに投稿した。
こうした警告もあり、航空会社は旅客を集めるのに苦慮している。ポンティ氏は「大量の人が渡航を中止していることや返金に関する不透明感、次々と変わる渡航制限により消費者心理が大打撃を受けた。事業の回復を抑制している要因だ」と指摘した。