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焦点:じわり増える休業者の離職、コロナ長期化で日本の失業率4%台も

発行済 2020-09-01 17:10
更新済 2020-09-01 18:45
© Reuters. 焦点:じわり増える休業者の離職、コロナ長期化で日本の失業率4%台も

浜田寛子

[東京 1日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で急増した日本の休業者数が、7月は4月のピーク時から3分の1強の220万人まで低下した。それでもコロナ前の水準に比べると高く、しかも非正規雇用が拡大していたことを背景に、離職する人の割合がじわりと増えている。エコノミストの間では、2020年末には失業率が4%台に乗るとの見方も出ている。

<「休業後に解雇、収入4割減」 非正規社員にしわ寄せ> 

福島県の卸売会社でパート従業員として働いていた女性は、4月の緊急事態宣言以降、休業を余儀なくされた。会社は観光地やホテル、道の駅などの売店に商品を卸す事業を展開。女性は納入リストをもとに、商品をピッキングする仕事に従事していた。

影響が出始めたのは新型コロナの感染が広がり始めた2月ごろ。例年に比べて注文数が少なくなったという。3月末の社内会議で「業績が悪化している」との報告が上がり、4月に休むよう言い渡された。そして8月、雇用契約の更新ができないと会社側から伝えられ、解雇された。

休業中、女性は時給の6割を支給されていた。収入は4割減だったが、今はそれすらもない。「コロナの影響を受けやすい観光業は厳しい」と、女性は話す。自治体が募集している福島県の臨時職員に応募する予定だ。 

総務省が1日に発表した労働力調査によると、6―7月で調査対象となった休業者のうち、3.1%が完全失業者に、9.4%が職探しをしていない非労働力人口に移行した。4─5月はそれぞれ1.7%と4.9%だった。5━6月は1.9%と5.3%で、確実に上昇している。

8月下旬に辞任を表明した安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」のもと、失業率は低下し、有効求人倍率は上昇、雇用環境は改善してきた。その一方、非正規社員の割合が増加し、新型コロナで大きな打撃を受けている。

7月の労働力調査では、正規職員は前年同期比52万人増加したが、非正規は同131万人減り、2014年1月以来最大の減少幅となった。みずほ総研経済調査部・主任エコノミストの小寺信也氏は「非正規職員は正規職員に比べて就業状態に戻りにくい」と指摘する。

7月の完全失業率は2.9%と、6月の2.8%から小幅な上昇にとどまった。しかし、コロナ禍は長期化することが予想され、非正規労働者が失業者に移行していく割合はさらに高まる恐れがある。

労働市場の問題に詳しい日本総研の山田久副理事長は、経済活動の水準がコロナ前比9割という状況が1年続くという前提で、「2020年末には失業率は4%弱まで上がる」と予測する。日本は人手不足が続いていたため、欧米諸国に比べて失業率が低く抑えられているが、「(経済的ショックが)あまり長くなると失業率も上がってこざるを得ない」と、山田副理事長は語る。

<雇用調整助成金の課題>

政府は新型コロナの影響で休業などを余儀なくされた事業者が雇用を守れるよう、雇用調整助成金制度を設けている。厚生労働省によると、8月28日時点で86万6232件、総額約1兆914億円が支給され、セーフティネットとして評価する声は多い。一方で、手続きの煩雑さや助成対象には課題が残る。

山形県で旅館を営む佐藤信幸さんは、5月に助成金を申請した。しかし、次々と書類の不備を指摘され、まだ作業が完了していない。佐藤さんの旅館は2月末に休校が決まって以降、予約のキャンセルが相次いだ。今は「GoToキャンペーン」もあって営業を再開しているが、一時は休業せざるをなかった。 

佐藤さんは、雇用助成金を見込んで従業員を雇用し続けており、制度自体は評価する。「来年1-3月もコロナの感染者が減る可能性は低いとみているので、雇用調整助成金はこの先1年間くらいは続けてほしい」と話す。 

一方、神奈川県で飲食店を経営する國島秀和さんは、従業員の拘束時間など細かな条件が助成対象には当てはまらず、申請を見送った。店の売り上げは3月の歓送迎会シーズンにキャンセルが相次ぎ、4月は前年比6割減、5月は同約5割減まで落ち込んだ。12月まで予約はほとんど入っていないという。

「雇用調整助成金の対象基準も大手企業の基準に合わせているので、我々のような中小、零細企業が同じ土俵で(条件を)言われても、無理だ」と、國島さんは言う。 

みずほ総研の小寺氏は、この先発表される8―9月の失業率は3%台前半に上る可能性もあると予測する。「新型コロナの感染者数の動向や感染第2波のリスクに加え、雇用調整助成金の効果が切れた場合、今後さらに上昇するだろう」と話す。

*文中の語句を補ました。

(浜田寛子 編集:久保信博)

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