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アングル:コロナショック後のIPO銘柄、個人の買いで「勝ち組」に

発行済 2020-09-25 15:52
更新済 2020-09-25 15:54
© Reuters. コロナショック後のIPO銘柄、個人の買いで「勝ち組」に

佐古田麻優 新田裕貴

[東京 25日 ロイター] - コロナショック後の相場で、IPO(新規上場)銘柄の人気が高まっている。人気の中心は、小型かつデジタル関連でコロナ禍でも成長が期待できる企業。東証1部市場が調整色を強める中、個人投資家の資金が向かい「勝ち組」となっている。

<景色が一変>

IPO市場では、6月下旬の再開以降、公開価格を大幅に上回る初値を付けた後も、堅調に推移する銘柄が目立っている。コロナショックに見舞われた3月は、マザーズ市場に上場した14社のうち9銘柄が公開価格割れでスタート、4月に入ってからはIPOの中止・延期が相次いだが、景色は一変した。

東京証券取引所のデータによると、今年上場した47社(9月17日時点)の初値から上場来高値までの上昇率は約101%。前年に上場した85社の上昇率の約91%を上回っている。IPO銘柄の多いマザーズ指数はコロナショック前の2月21日に比べ43%上昇(24日終値)と、2月とほぼ同水準にある日経平均の動きを大きく上回っている。

買いの中心は個人投資家だ。お笑い芸人として活動する傍ら、IPO株を中心とした株式投資を行う梅木一仁さん(37)は、コロナでも成長余地のある企業の銘柄を選んだと話す。

梅木さんは、コロナ感染防止対策に伴うイベント規制を受け、収入がゼロとなった3―4月は、IPO株取引に専念。3─4月はEコマース事業を手掛ける3月上場の関通などの銘柄に目を付け、リターンを図ったという。「IPOの魅力は数週間で株価が4倍、5倍と跳ね上がるような上値の軽い銘柄が多いところだ。3─4月は収入がなかったので、IPOに救われた」と話す。

証券ジャパンの調査情報部長、大谷正之氏は、最近のIPO人気について、市場からの吸収金額が小さく、コロナでも成長を見込めるIT系で、かつマザーズ市場の案件、といった条件が揃うと、値が飛びやすいと分析する。「米大統領選までは動きづらいこともあり、新興市場に資金が向かいやすい。しばらくは人気化しやすい地合いが継続するだろう」とみる。

<企業にとっては悲喜こもごも>

一方、IPO企業にとって「コロナショック」は、悲喜こもごもの影響を与えている。

8月7日にマザーズ市場に上場したティアンドエスは、アプリケーション開発やインフラ構築などを手掛けるIT企業だ。武川義浩代表取締役社長は、コロナ禍でのIPO実施について不安は抱いていたものの「業績は伸びていたので延期は考えなかった」と話す。2020年11月期(今期)の営業利益は前期比11.4%増の3億円の見通しだ。

同社の株価は上場2日目に公開価格の2.5倍で初値を付けた後急騰、8月は一本調子の上昇となった。武川氏は「とてもありがたいが、株価に対しては正当性があるとは思っていない。事業内容を知っている投資家は少ないのではないか。はやく落ち着いてほしい」と、やや戸惑い気味だ。

一方、6月下旬にIPOが約2か月半ぶりに再開した際、上場となったある企業の役員は「証券会社からは、本当に上場しないといけないのかとの確認が何度も来たが、上場による知名度向上を優先した」と話す。しかし、想定発行価格よりも大きくディスカウントされた仮条件を発表せざるを得なかったと打ち明ける。

「IPOディスカウントが普通は20%程度のところが約60%となった。IPO中止ラッシュがあったので、機関投資家にとって見通しをつけるのが難しかったのではないか。今は正常に戻りつつあるが、当時はバリュエーションが下がってしまった」(同役員)と話す。

野村証券・公開引受部次長の佐藤良直氏は「6月にマーケットが再開した直後は、再チャレンジ案件を中心に、想定仮条件・ディールサイズを抑制した形でローンチした企業が多かった。慎重に再スタートした状況ではあったが、初値は公開価格を大きく上回るなど、結果的にはいい流れが出来たのではないか」と分析している。

今年上場した企業(9月17日時点、再上場を含む)

企業名 上場日 上昇率

コーユーレンティア 2月7日 5%

ジモティー 2月7日 73%

AHCグループ 2月25日 3%

カーブスHLDG 3月2日 21%

Kids Smile HLDG 3月4日 28%

きずなHLDG 3月6日 95%

ウイルテック 3月6日 -45%

フォーラムエンジニアリング 3月9日 4%

ビザスク 3月10日 181%

コンピューターマネージメント 3月11日 4%

木村工機 3月13日 129%

フォースタートアップス 3月13日 40%

リグア 3月13日 212%

ミクリード 3月16日 98%

ドラフト 3月17日 38%

リビングプラットフォーム 3月17日 15%

ミアヘルサ 3月17日 29%

ゼネテック 3月19日 96%

日本インシュレーション 3月19日 36%

関通 3月19日 353%

ヤマエ久野 3月23日 15%

リバーHLDG 3月24日 21%

ヴィス 3月25日 11%

サイバーセキュリティクラウド 3月26日 389%

アディッシュ 3月26日 111%

NexTone 3月30日 659%

Macbee Planet 3月31日 142%

松屋アールアンドディ 4月6日 379%

エコミック 4月28日 88%

フィーチャ 6月24日 15%

ロコガイド 6月24日 91%

コパ・コーポレーション 6月24日 106%

コマースOne HLDG 6月26日 21%

エブレン 6月29日 30%

グッドパッチ 6月30日 12%

Branding Engine 7月7日 39%

Speee 7月10日 24%

GMO フィナンシャルゲート 7月15日 108%

アイキューブドシステムズ 7月15日 1%

KIYOラーニング 7月15日 129%

Sun Asterisk 7月31日 294%

日本情報クリエイト 7月31日 98%

モダリス 8月3日 62%

ティアンドエス 8月7日 317%

ニューラルポケット 8月20日 113%

インターファクトリー 8月25日 77%

雪国まいたけ 9月17日 3%

© Reuters. コロナショック後のIPO銘柄、個人の買いで「勝ち組」に

(上昇率:初値から上場来高値までの上昇率)

(編集:伊賀大記、石田仁志)

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