[ロンドン 13日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は13日に公表した年次の世界エネルギー見通しで、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界経済の回復が遅れれば、世界のエネルギー需要も2025年まで完全な回復が見込めないとの見通しを示した。
IEAは主要シナリオで、新型コロナのワクチンや治療法により世界経済は2021年に回復し、エネルギー需要も23年までに回復すると予測。一方、回復が遅れるシナリオでは、エネルギー需要の回復も2年後ずれする。
2020年の世界のエネルギー需要は5%縮小すると予測。二酸化炭素(CO2)排出量は7%、エネルギー投資は18%、それぞれ縮小すると予想している。
石油需要は8%、石炭需要は7%、それぞれ減少する。一方、再生可能エネルギー需要は若干増加する見通し。
政府やエネルギー業界が持続可能なエネルギーへの取り組みを進めるなか、新型コロナの世界的感染拡大がそれを後押ししたか、もしくは、後退させたかを見極めるのはまだ難しいとの認識を示した。
IEAのビロル事務局長はロイターに対して「各国の現行政策では、気候変動対策の目標達成にはほど遠い」と述べ、政策当局者の対応の遅れを指摘した。
「世界の石油需要が拡大を続ける時代は10年以内に終わるが、政府の大きな政策転換がなければ明確なピークの兆しは見えない。世界経済が回復すれば、原油需要はすぐに(新型コロナ)危機前の水準に戻る」との見方を示した。