[ロンドン 1日 ロイター] - 英議会は1日、イングランドで新型コロナウイルスの警戒レベルに応じ地域別に3段階の制限措置を導入する案を291対78の賛成多数で承認した。ただ、ジョンソン首相率いる保守党の一部議員が造反し、与党内で首相のコロナ対応に不満が強まっている現状が浮き彫りとなった。
イングランドでは過去1カ月にわたりロックダウン(都市封鎖)が敷かれていたが、これが終了するのに伴い、2日から地域別の制限措置に移行する。イングランドの人口の4割強が最も厳しい制限の対象となる。警戒レベルが最も低く制限が緩い地域の人口は全体のわずか1%。
ジョンソン氏は議会で「感染拡大の状況は各地域で異なるため、イングランドで地域別に段階的な措置を講じるのが妥当だ」と強調。
ただ、保守党の議員364人のうち数十人が段階的な制限は過度に厳格で根拠が不十分などと批判を繰り広げてきた。
この日の採決では保守党の一部議員が造反したものの、最大野党の労働党が反対票を投じる代わりに棄権したため、賛成多数で承認された。労働党によると、保守党からは約56人が造反した。
新たな制限は全土に敷かれた過去2回のロックダウン(都市封鎖)よりも緩やかだが、引き続き社会および商業活動が制限される。
全ての地域で小売店の営業と学校の授業は続けられるが、最も厳しい制限の対象地域ではパブとレストランは持ち帰りを除き営業ができない。
最高レベルの地域は他地域との人の往来も制限され、上2段階の制限対象地域では屋内に2世帯以上が集まることが禁じられる。政府は最高レベルの地域の人口は2300万人、真ん中の地域が3200万人と推定。両地域の人口はイングランド全体の99%弱に相当する。
ジョンソン氏はまた、新規制下で営業を再開できないパブに1000ポンド(1335ドル)の一時支給金を支払うと表明。
保守党は1年前の総選挙で地滑り的勝利を収めたが、今回の一部議員の造反は、コロナ対応を巡りジョンソン氏の党内の求心力が低下していることを示している。