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米大統領、追加コロナ対策・歳出法案に署名 政府機関の閉鎖回避

発行済 2020-12-28 10:32
更新済 2020-12-28 13:54
© Reuters. トランプ米大統領、追加コロナ対策・歳出法案に署名

[パームビーチ(米フロリダ州) 27日 ロイター] - トランプ米大統領は27日、新型コロナウイルス追加景気対策・歳出法案に署名した。

これにより、失業給付の特例措置が再導入され、連邦政府機関の一部閉鎖も回避されることになった。

法案には、年末で失効予定だった強制退去の猶予措置の延長、新たな中小企業支援策、学校の授業再開に向けた予算、輸送業界やワクチン配布向けの支援策も盛り込まれている。

トランプ氏はこれまで、先週議会を通過した同法案への署名を拒否。これを受けて26日に失業給付の特例措置が失効していた。

また、トランプ氏が署名を拒否し続ければ、29日から一部の政府機関が閉鎖され、多くの政府職員の所得に影響が出る可能性もあった。

27日には民主・共和両党の議員から、トランプ氏に署名を促す声が相次いでいた。

トランプ氏がなぜ従来の方針を転換したのかは現時点で不明。

失業給付の特例措置の適用を受けていた失業者は約1400万人。トランプ氏は議会に対し、景気対策法案を修正して現金給付を1人600ドルから2000ドルに引き上げるよう要求していた。民主党は2000ドルへの引き上げを支持していたが、多くの共和党議員は同案に反対している。

ホワイトハウスは、トランプ氏の意向について口を閉ざしていたが、関係筋によると、一部の顧問は法案への署名を大統領を提言。側近の間では、トランプ氏が強硬姿勢を和らげるとの見方が一部で出ていたが、同氏がどのような行動に出るかは予測不能で、態度を変えない可能性があることも認めていたという。

トランプ氏は、フロリダ州の別荘「マール・ア・ラーゴ」でクリスマス休暇を過ごしている。27日午前の段階ではゴルフをしており、議会との対立解消を急ぐ姿勢を見せていなかった。

<市場にポジティブ>

トランプ大統領の署名を受けて、株式市場は上昇。米S&P先物と日経平均は約0.4%値上がりした。金のスポット価格は1%近く上昇。

三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト、市川雅浩氏は、政府機関が一部閉鎖される可能性があったことを考えると、市場にとってポジティブだと指摘。景気対策を巡る混乱が収まったとの認識を示した。

トランプ氏は「無駄な項目を削る必要があることを議会にはっきりと示す強力なメッセージ」とともに法案に署名すると表明。下院が28日に現金給付を600ドルから2000ドルに引き上げる案を採決する計画であることに触れ、上院も引き上げの承認に向けた「作業を開始するだろう」と述べた。

「はるかに大きな金額が追加される」と主張したが、同氏の任期は1カ月を切っており、議員に行動を促す影響力はほとんどない。

共和党のマコネル上院院内総務は「大統領がこの救済策に署名し、法案が成立したことに感謝する」としながらも、現金給付を引き上げる案を上院で採決する計画は示さなかった。

トランプ氏は同法案について、特別利益団体、文化事業、海外支援向けの予算が多すぎるとも批判していた。

<議員は安堵(あんど)>

民主党のペロシ下院議長は、トランプ氏の署名を歓迎。「必要な額の頭金」を確保できたとし「大統領は直ちに共和党議員に対し、妨害を止め、大統領や民主党とともに現金給付を2000ドルに引き上げる単独の法案を支持するよう呼び掛ける必要がある」と述べた。

トランプ氏が拒否権の行使を取りやめたことについて共和党関係者の間でも、1月にジョージア州で行われる連邦上院選の決選投票で同党候補に追い風になるとして安堵感が広がった。

一方、トランプ氏は署名に際し、11月の大統領選に不正があったと改めて主張。「(上下両院が)この非常に大規模な不正投票の問題に重点的に取り込むことに合意した」とし、上院が調査を始めるだろうと述べた。

マコネル院内総務もペロシ下院議長も、そうした合意が成立したとは述べていない。トランプ氏は不正の根拠を示しておらず、民主党や一部の共和党議員はトランプ氏の主張を一貫して否定。マコネル院内総務も民主党のバイデン氏を次期大統領として認め、トランプ氏の怒りを買った。

*内容を追加しました。

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