[ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、新型コロナウイルスワクチン接種などの情報が記載される証明書の詳細を17日に発表する。6月に加盟各国政府と欧州議会の合意を取り付け、夏季の旅行需要に対応したい考え。
欧州委が提案するのはEU域内で通用する「グリーン・デジタル証明」と呼ばれるもの。ワクチン接種状況や新型コロナ検査の結果のほか、感染した経験がある場合は回復状況などが記載され、飛行機搭乗などの円滑化を図る。
こうした構想に対しギリシャは、ワクチン接種を受けた人や新型コロナに対する抗体保有者のほか、新型コロナ検査で陰性を示したすべての人の入国をこの夏、歓迎すると表明。フランスはオーストラリアやニュージーランドのほか、英国などからの渡航制限の緩和を発表した。
一方、ベルギーとドイツはワクチン接種に反対している人や、接種を受けられない人に対する差別になる恐れがあると懸念を表明。域内で見解が割れていることで、証明書にどのような権利を付随させるか、来週のEU首脳会議で白熱した討議が予想されている。
世界保健機関(WHO)はワクチン接種を国際的な渡航の条件としないよう助言。WHOで緊急事態対応部門を統括するマイケル・ライアン氏は15日、「ワクチン接種を受けられるかは住んでいる国に大きく左右される。世界的に極めて不公平な状況に直面しているため、慎重に対応する必要がある」と述べた。