[東京 19日 ロイター] - 来週始まる東京五輪・パラリンピックの聖火リレーは、予定していたランナーが相次ぎ辞退するなど大幅な計画修正を迫られた。新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中、実際にスタートしてからも不安は尽きない。大会組織委員会で聖火リレーの運営を担当する河村裕美氏は19日、ロイターのインタビューで、安全が確保できなければ「躊躇(ちゅうちょ)」なく中断する考えを示した。
聖火リレーは25日、福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」で出発式を行い、その後7月23日の五輪開会式まで121日間かけて約1万人のランナーが47都道府県を走る。新型コロナの影響でコース変更や感染対策を講じる必要に迫られ、具体的な実施要項はぎりぎりまで決まらなかった。
各地域で聖火リレーを担当する地方政府関係者からは、指針が決まるのが遅すぎたと不満が噴出。大会組織委員会・聖火リレー室の河村裕美企画担当部長は、「多くの情報があり、どうすればいいのか正解を出すことが難しく、地域によって感染の状況も違うので、全国的なガイドラインを作るのに時間がかかってしまった。申し訳ないと思っている」と述べた。
聖火ランナーとして参加する予定だった著名人の間で辞退が相次いでいることについては、コロナが原因で舞台公演などの日程が遅れ、聖火リレーと重なってしまったほか、観覧者の密集を避けるためコースを変更したことで、日程の確保ができなくなったことが原因だったと説明した。
河村氏は「危ないこと、危険だと思うことはやらない。そういうときは躊躇(ちゅうちょ)なく一回中断して、改善して対策を練ってから次のリレーをやっていく」と語った。「楽しいことがなかなかないご時世なので、安全を第一としつつ、やって良かった、聖火リレーが来てくれてよかったと思えるものを全力を尽くしてお届けしたい」と述べた。
聖火は昨年3月、ギリシャから日本に運ばれた。到着式の4日後に大会の1年延期が決まり、それからは1日24時間の厳重な警備体制で保管されてきた。河村氏は、聖火の保管場所は「秘密事項」として明らかにしなかった。
(宮崎亜巳、Elaine Lies)