[パリ 21日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会のティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)は21日、EUはロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」を全く必要としておらず、欧州製ワクチンによって域内全体での接種が可能になるとの見解を示した。
欧州委は域内の感染者が増え、EUを離脱した英国のワクチン接種が加速する中、域内の接種ペースが遅いとの批判を受けてきた。
欧州委員会のワクチン作業部会を率いるブルトン氏は仏テレビTF1に対し「われわれにはスプートニクVは全く必要ない」と強調。「現時点でわれれには6月末までに3億─3億5000万回分を供給する能力がある。つまり7月14日までに域内全体で免疫を獲得する可能性がある」と述べた。
同氏はまた、EUは必要があればロシアのワクチン生産を支援すべきだが、域内の人々を優先する必要があるとの見解を改めて表明した。「ワクチンは確保しているので人々が接種を受け入れる段階にある」とした。
スプートニクVのメーカーはツイッターへの投稿でブルトン氏には「明らかに偏見がある」と批判。「欧州は安全で有効なワクチンを求めているが、そのようなワクチンはまだ供給されていない」と主張。ブルトン氏の見解が「公式なものならば、政治的偏向があるので欧州医薬品庁に許可申請すべきではないとわれわれに伝えてほしい。他の国々で引き続き命を救うことになる」とした。
欧州医薬品庁(EMA)は今月初め、スプートニクVのローリング・レビュー(逐次審査)を開始したと発表した。