[東京 23日 ロイター] - 国土交通省が23日に発表した今年1月1日時点の「地価公示」は、全国全用途の平均が前年比0.5%下落となり、6年ぶりに下落に転じた。新型コロナウイルス感染症の影響などで全体的に弱含んでおり、商業地が7年ぶり、住宅地が5年ぶりにそれぞれ下落した。変化の程度は住宅地よりも商業地、地方圏よりも3大都市圏の方が大きかった。
21年公示地価は全国2万6000の調査地点(福島第1原子力発電所の事故の影響による7地点は調査休止)を不動産鑑定士2353人が鑑定し、土地鑑定委員会が審査した。
<商業地、全国平均7年ぶり下落>
商業地の全国平均は前年比0.8%下落で、前年(同3.1%上昇)から一転マイナスとなった。新型コロナの感染拡大に伴う店舗やホテルの需要減退、先行き不透明感などを背景に需要が弱含んだ。訪問客の減少などで収益性が低下している地域や、飲食店が集積している地域の下落が大きいといった傾向もみられた。
3大都市圏は前年比1.3%下落。このうち東京圏が同1.0%下落、大阪圏が同1.8%下落、名古屋圏が同1.7%下落で、いずれも8年ぶりに下落に転じた。
一方、地方圏は同0.5%下落で、昨年からの変動率の変化は3大都市圏に比べて小さかった。「路線商業地など日常生活に必要な店舗などの需要がある地域では上昇地点もみられる」(国交省)という。
<雇用情勢の懸念で住宅地もマイナス>
住宅地の全国平均は前年比0.4%下落し、前年(同0.8%上昇)からマイナスに転じた。新型コロナによる雇用・賃金情勢への懸念などで、全体的に需要が弱含んだ。
3大都市圏は同0.6%下落。このうち東京圏が8年ぶり、大阪圏が7年ぶり、名古屋圏が9年ぶりに下落に転じた。一方、地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は「各ブロックの中心都市で住宅需要は強い」(国交省)といい、同2.7%上昇とプラスを維持したものの、上昇率は前年の同5.9%から縮小した。
(杉山健太郎 編集:青山敦子)