[ブラジリア 23日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)の米州地域事務局である汎米保健機構(PAHO)のカリッサ・エティエンヌ事務局長は23日、ブラジルで新型コロナウイルスの感染が「危険なほど」急増しているとし、国民に感染予防策を講じるよう警告した。
同氏はブリーフィングで「残念ながらブラジルの悲惨な状況は近隣諸国にも影響を及ぼしている」と指摘。新型コロナの感染者はベネズエラのボリバル、アマゾナス両州やペルー、ボリビアの国境地域でも増加していると述べた。
PAHOの当局者によると、ブラジルで最初に見つかった感染力の強い新型コロナ変異株「P1」は米州15カ国で感染が確認されている。
パラグアイでは集中治療室(ICU)の病床にほぼ空きがない状態で医療体制が逼迫。ウルグアイでは過去数週間に1日当たりの新規感染者が1000人を超えるケースが数回あり、同国の規模を踏まえると憂慮すべき状況となっている。
パナマでは感染者が減少しているが、グアテマラでは入院者数が増加し、ICUの病床が逼迫しつつある。
WHOが主導する新型コロナワクチンの公平な供給を目的とした国際的枠組み「COVAX」と、発展途上国へのワクチン普及に取り組む官民組織「GAVIアライアンス」はこれまでに米州地域に216万1800回分のワクチンを供給している。
エティエンヌ氏は「ワクチンの供給は進んでいるが、域内の大方の人にとってまだ数カ月先になる」と語った。
ロイターの集計によると、中南米・カリブ海諸国の新型コロナ感染者は累計約2370万人、死者は74万6000人となっている。
ブラジルのコロナ感染者は1200万人、死者は29万5000人を超えている。