[ロンドン/ロサンゼルス 25日 ロイター] - 複数の海運筋によると、エジプトのスエズ運河で大型コンテナ船が座礁し、船舶の交通が遮断されていることで、既に消費者への小売商品供給で混乱や遅れに直面している海運会社の問題が一層深刻化している。
携帯電話、ブランド品からバナナに至るまで、あらゆる商品を運ぶコンテナ海運会社はここ数カ月間にわたり、世界中で物流の障害につながった、新型コロナウイルス流行による混乱と小売商品需要の急増に苦慮している。
新たな問題として浮上した今回、スエズ運河で全長400メートルのコンテナ船「エバーギブン」が座礁し、航路をふさいでいることで、関係筋によれば30隻超のコンテナ船が通航できないでいる。
復旧作業は続いているが、ある関係企業によれば数週間かかる可能性もある。
オランダ金融大手INGのシニアエコノミスト、ジョアンナ・コーニングス氏は「サプライチェーン(供給網)が既に圧迫されている中、大型コンテナ船が世界貿易の主要ルートを文字通りふさいだ」と指摘した。
コンテナ海運世界第2位のメディテラニアン・シッピング・カンパニー(MSC、スイス)は、主な同業者が軒並み影響を受けたと説明。「運河を頻繁に利用しており、最新の情報を求めて状況を非常に注意深く監視している」とした上で、「数日以内にスエズ運河を通航予定の貨物があるMSCの顧客はスケジュール変更の可能性に備えるべきだ」と話した。
コンテナ海運世界最大手のAPモラー・マースク(デンマーク)は、南アフリカの喜望峰を経由する迂回(うかい)ルートを検討していると明らかにした。その場合、アジア欧州間の所要日数は5─6日増えることになる。速達貨物は鉄道や航空輸送に振り替えることも考えているが、まだ決定していないという。
欧州最大のオランダ・ロッテルダム港の広報担当者は、スエズ運河の事故の前から、物流においては需要が輸送能力を上回る状態だったと指摘した。
コンテナ海運業界調査会社シーインテリジェンスの主任アナリスト、アラン・マーフィー氏は「(スエズ運河の)閉鎖が長引けば、現在の世界のコンテナ機材不足が悪化するとみられる」と述べ、既に記録的な高水準にある海上運賃が、コンテナ不足によってさらに上昇する可能性があると予想した。