[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の当局者からは30日、米経済の先行きを楽観する見方が相次いだ。新型コロナウイルスのワクチン接種や政府の景気対策で消費や企業活動が活発になり、景気回復が進むとの見通しが示された。
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は30日、新型コロナの感染拡大下で膨らんだ家計の貯蓄や消費者の累積需要がワクチン接種が進み気候が暖かくなるにつれて解き放たれると指摘。これまでの政府の6兆ドル近い景気対策とFRBの金融緩和を背景に、今年の米経済について非常に「強気」な見通しを持っているとし、消費は2022年と23年も底堅さを維持すると指摘した。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、景気の上振れリスクを注視しているとし、「夏に向けて活動が活発になり、回復が一段と力強くなる可能性がある」とした上で、「夏の間は毎月100万人の雇用が標準となり得る」と語った。
2日発表の3月米雇用統計は、非農業部門雇用者数の約65万人増が見込まれている。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も経済全般に楽観的だとした上で、「ワクチン接種は大きく前進し、今後も多くの前向きな要素があるだろう」と見通した。
<低金利の維持>
金利先物市場では、景気回復を受けてFRBが来年利上げを始めるとの見方が織り込まれている。
一方、FRB当局者は今月、完全雇用と2%のインフレ目標を達成するまで、政策金利を現行のゼロ近辺で維持すると再度表明。完全雇用とインフレ目標双方の達成で「一段の大きな進展」が見られるまで、長期借入コストを押し下げるため毎月1200億ドルの債券を買い入れを継続する方針も示している。
クオールズ副議長はこの日、自身を連邦公開市場委員会(FOMC)内でも「特に楽観的な向きだ」と述べ上で、「私が楽観的になっているということは、われわれの新たな枠組みにおいてはさほど重要ではない」と指摘。失業率が低下し、それに伴い賃金が上昇するという自身の見通しは、一昨年までならすぐに引き締め議論につながっていたが、現時点で重要なのは経済がどうなるかという見通しではなく、経済が実際にどうなっているかだと説明し、判断を急ぐべきではないとの考えを示唆した。
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