[ロンドン 31日 ロイター] - 英ロイズ保険組合のブルース・カーネギーブラウン会長は31日、エジプトのスエズ運河が1週間近くにわたって封鎖されたことを受けて、同組合に「多額の損失」が出るとの見通しを示した。
ロイズは、新型コロナウイルス流行の影響で2020年に9億ポンド(12億ドル)の税引き前損失を計上した。
同会長はロイターに、現時点で具体的な損失額を算出することできないとしながらも「多額の損失になることは明らかだ。(スエズ運河で座礁した)船舶だけでなく、運河を通行できなかった他の船舶もすべて対象になる」と述べた。ロイズの損失額は1億ドル前後か、それを超える可能性もあるという。
業界関係者によると、運河の封鎖で被害を受けた船舶や貨物に対する損害賠償は、まず、座礁した大型コンテナ船「エバーギブン」が加入する英国の賠償責任保険組合「P&Iクラブ」に請求される見通しだが、英P&Iクラブは再保険も利用するとみられ、一部の再保険はロイズ保険組合が引き受けている。
同会長によると、ロイズは再保険の請求全体の5-10%に関与する可能性がある。
格付け会社フィッチ・レーティングスは今週、スエズ運河の封鎖で再保険業界が数億ユーロ規模の損失を被る恐れがあるとの見方を示した。
ロイズは2019年に25億ポンドの黒字を計上していた。
2020年の新型コロナ関連の請求では、再保険分を除き34億ポンドの保険金を支払う見通し。同会長によると、支払いの多くは、テニスのウィンブルドン選手権など大型イベントのキャンセルに関連するものになる見通し。コロナ関連の支払いは2021年も続くという。
ただロイズによると、保険料率は2020年に10.8%上昇。2021年に入っても保険料率の上昇は続いている。