[ニューデリー 5日 ロイター] - インド保健省が5日発表した新型コロナウイルスの新たな感染者は過去最多の10万3558人となった。1日の新規感染者数が10万人を超えた国は米国以外で初めて。
このうち国内で最も急速に感染拡大しているマハラシュトラ州が過去最多の5万7074人となった。州内の病院では患者があふれかえっており、同州は5日から厳格な行動規制を導入すると発表した。
インド全体の累計感染者数は1260万人と、米国、ブラジルに次ぐ多さとなっている。
インドの1日当たり感染者数は、2月初めに数カ月ぶりの低水準となってから約12倍増えている。この時に当局が大部分の制限を緩和し、多くの人々がマスクの着用をやめ、ソーシャルディスタンスを守らなくなったほか、専門家によると、感染力の強い変異株も影響している可能性がある。
これまでの1日当たりの最多感染者数は昨年9月半ばに記録した9万7894人だった。
死者は478人増えたものの、死亡率は依然として世界で最も低い部類にとどまっており、累計では16万5101人となっている。
<選挙集会を継続>
感染者は約10州で急増しているものの、政治家は地方選の選挙集会を依然として続けており、マスクを着用していない数万人が集会に参加している。
地方選が行われているアッサム州の保健相は、州内ではマスクの着用は不要とし、マスクを着用すれば美容院などの営業に悪影響が出ると主張。ソーシャルメディアで批判を浴びている。
インドは1月中旬にワクチン接種を開始。これまでに7700万回分のワクチンを投与した。これは米国、中国に次いで世界で3番目の多さだが、人口当たりの接種率は他の多くの国の水準を下回っている。
モディ首相は4日主催した会議でワクチン生産の拡大について協議した。
<変異株が原因か>
ニューデリーのジャワハルラール・ネルー大学の社会医療・地域保健センター長は「(人々の)行動という単純な原因ではなく、新たな変異株、懸念される変異株が大きな原因ではないか」と指摘した。
インドはまず、医療関係者など第一線で働く人々に英アストラゼネカのワクチンとインド政府が開発を支援したワクチンを投与。現在は45歳を超えた人に限定してワクチンの接種を進めている。
政府は6500万回分以上のワクチンを輸出したが、ここ数週間は輸出ペースを落としている。
首相官邸は「拡大する国内需要と他国の本当のニーズに対応するため、適切な量のワクチン確保に向けて全力を尽くしている」との声明を発表した。
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