💎 すべての市場で隠れている割安株をお示しします始めましょう

アングル:女性の経済政策リーダー続々、コロナ禍克服へ新風

発行済 2021-04-10 09:35
更新済 2021-04-10 09:36

[ワシントン 6日 ロイター] - 米国のバイデン新政権では多くの女性が経済関連の閣僚や要職に就き、米経済の回復に取り組んでいる。

バイデン政権は財務長官にジャネット・イエレン氏、商務長官にジーナ・レモンド氏、通商代表部(USTR)代表にキャサリン・タイ氏が就任したほか、経済顧問の多くで女性を起用。承認を受けた閣僚級ポストで女性の占める比率が48%近くに達した。

こうした「潮目の変化」は、すでに経済政策に影響しているかもしれない。バイデン政権が先に発表した総額2兆3000億ドル(約252兆4400億円)の「米雇用計画」では、自宅やコミュニティーで子供や高齢者を世話する職を支援するために4000億ドルが充てられた。こうした職種は通常、女性が担う仕事とされ、そのほとんどはこれまで正当に評価されてこなかった。

米雇用計画は過去の経済、通商、労働政策によって作られた人種的、地域的な不平等の是正にも数千億ドル余りの資金を割り当てている。

<「経済の構造問題の是正が始まる」>

イエレン氏は、「人的なインフラ」に焦点を当てる政策と先の1兆9000億ドル規模の追加経済対策が、女性と、そしてすべての人々に大きな改善をもたらすことは間違いないと言う。女性が全労働力に占める比率はコロナ危機前でさえ過去40年の最低水準に落ち込んでいた。

イエレン氏はツイッターに「最終的にこの法案は80年の歴史を作ることになるかもしれない。過去40年間でわれわれの経済に広がった構造的問題の是正が始まる。これはわれわれにとってスタートに過ぎない」と投稿した。

専門家によると、女性指導者は経済政策に新しい視点を持ち込むことができる。

ハーバード・ビジネス・スクールのレベッカ・ヘンダーソン教授によると、「グループの他のメンバーとは違う人物は、物事を異なる方向から見ることがたびたびある」。そうした人物は「異なる解決策に前向きな傾向を持つ」と同教授は指摘、それこそが今求められていることだという。教授は「われわれは重大な危機に直面している。新しい考え方が必要だ」と話した。

<共感と安定性>

過去半世紀で大統領か首相に就いた女性は57人だが、経済政策を決める組織は最近までほとんど男性が支配してきた。米国以外では、欧州中央銀行(ECB)総裁にクリスティーヌ・ラガルド氏、国際通貨基金(IMF)専務理事にクリスタリナ・ゲオルギエワ氏、世界貿易機関(WTO)事務局長にヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏が就いているが、これらのポストは10年前にはいずれも男性が占めていた。

シンクタンクのOMFIFの年次報告によると、女性が財務相に就いているのは16カ国、女性の中央銀行総裁は14人だ。

入手可能な限られたデータによると、女性の方が危機の際に複雑な組織を運営する上で優れた実績を残している。

ゲオルギエワ氏は1月、IMFなどによる調査結果を引き合いに、「女性が関与している際のエビデンスは非常に明確だ。コミュニティーが改善し、経済は上向き、世界が良くなる」と述べた。

その上で「女性は優れた指導者になる。最も弱い立場にある人々に共感を示し、そうした人々のために物申すからだ。女性は決断力がある。女性は妥協を見いだすことにも、より前向きになることができる」と語った。

米国心理学会の研究によると、米国では女性知事の州が新型コロナウイルスによる死者数が男性知事の州よりも少なかった。またハーバード・ビジネス・レビューによると、昨年3月から6月に6万人の指導者を対象に実施した360度評価で、女性の方が大幅に高い得点を得た。

IMFの調査によると、金融機関の最高経営責任者(CEO)の女性比率は2%未満で、執行役員会メンバーに占める比率は20%未満だが、女性が経営している金融機関は財務の耐性と安定性がずっと優れていた。

国際連合の顧問で非営利団体幹部のエリック・ルコント氏によると、イエレン氏がキリスト教やユダヤ教の団体の指導者と先月行った会談は、従来とはっきりと違っていたという。

「財務長官とこの20年間会談してきたが、彼らの論点はそれぞれ完全に異なっていた。イエレン氏は話し合ったすべての分野で共感を強調し、最も弱い立場のコミュニティーに政策が与える影響を重視した」と言う。

男性の前任者たちは「確実な事実のみ」に基づくアプローチを取り、最初に「人々ではなく数字」に焦点を当て、「弱者」といった言葉を使うことは一切なかったと言う。

<「リセッション」でなく「シーセッション」>

女性指導者の持つ意味は大きい。

エコノミストの多くは、新型コロナ流行による世界的な景気後退(recession)は実際には「シーセッション(she-session)」だと指摘している。コロナ禍で大きな影響を受けたのは女性だからだ。

マッキンゼーの最近の調査によると、女性は世界の労働力に占める割合が39%だが、失われた雇用に占める比率は54%だった。米国ではコロナ危機で消えた1000万の雇用の半分以上が女性で、労働市場から退出した女性は合わせて200万人を超える。

IMFの試算によると、このような女性が復職した場合の国内総生産(GDP)の押し上げ効果は米国で5%、日本で9%、アラブ首長国連邦(UAE)で12%となり、インドでは27%にも達する。

ゲオルギエワ氏は6日、IMFは医療、教育、社会保障、女性の権利促進など、これまで無視されてきた課題に各国が重点的に復興資金を充てるよう、量的な目標を設けたと説明。「そうしなければ不公平が悪化する恐れがある」と述べた。

世界銀行の首席エコノミスト、カーメン・ラインハート氏はロイターの取材で、女性指導者の増加が、「コロナが残す非常に多くの課題において、本当の意味でよりインクルーシブな(一体となった)対応につながる」と述べた。

© Reuters. アングル:女性の経済政策リーダー、世界で続々 コロナ禍克服へ新風

有色人種女性初のUSTR代表となったタイ氏はスタッフに対して、「既存の枠から出て」、多様性を取り入れ、長い間ないがしろにされてきたコミュニティーと対話するよう呼びかけた。

アフリカ出身者として初めてWTOのトップに就いたオコンジョイウェアラ氏は、女性の必要性に対処することは、各国政府や国際機関における深刻な信頼失墜の立て直しに向けた重要な一歩だと指摘。「これまで通りのやり方に埋没してはいけない。重要なのは人間であり、インクルーシビティ(誰もが参加できること)であり、普通の人々がまともな職に就けることだ」と述べた。

(Andrea Shalal記者)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます