[ジュネーブ 9日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9日の会見で、新型コロナウイルスワクチンの供給に「衝撃的な不均衡」が生じており、世界の大半の国が医療関係者や高リスクの人々の接種に必要なワクチンの入手さえ不可能な状況だと訴えた。
テドロス氏によると、これまでに新型コロナウイルスワクチンは世界で7億回余りが接種されたが、そのうち87%が中・高所得の国で接種され、低所得国で接種されたのは0.2%にとどまる。同氏は「平均すると高所得国では4人に1人が接種を済ませたのに対し、低所得国では500人強に1人にとどまっている」と述べた。
途上国のワクチン普及を目指す国際組織「GAVIワクチンアライアンス」とWHOは8日、ワクチンを共同購入し、途上国にも行き渡らせることを目指す国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて、ワクチンの供給開始後6週間で、6大陸102カ国に約3840万回分を配布したと発表した。COVAXは年内に20億回分超の配布を目指しているが、遅延に直面している。
テドロス事務局長は4─5月で後れを取り戻したいとしているが、COVAXが入手できるワクチンの不足を強調した。
COVAXにとってこれまで主力だった英製薬大手アストラゼネカのワクチンは、接種後にごくまれに血栓が生じている問題で、安全面での懸念が浮上している。
GAVIのセス・バークリー最高経営責任者(CEO)は、アストラゼネカ製ワクチン以外を優先させる国があれば、それによって生じた余剰ワクチンを速やかに利用できるように努める方針を示した。