[シドニー 20日 ロイター] - オーストラリアの大手銀行のエコノミストらは20日、豪準備銀行(中央銀行、RBA)が理事会を開く8月3日の時点でシドニーがなお新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)下にある場合、債券買い入れ縮小の決定が撤回される可能性が高いとの見方を示した。
豪中銀は今月、経済状況が想定より良好だとして、9月から債券買い入れを現行の週50億豪ドルから40億豪ドルに縮小すると発表した。
ただ、その後3州でロックダウンが実施され、経済をけん引する最大都市シドニーでは、昨年のパンデミック(世界的大流行)開始以降で最も厳しい規制が敷かれている。
コモンウェルス銀行(CBA)のエコノミスト、ギャレス・エアード氏はリポートで「7月の理事会以降、短期的な景気見通しは悪化した」と指摘。「コロナ感染拡大とロックダウンを巡る想定外の展開を踏まえると、中銀は8月理事会の時点でシドニー都市圏またはビクトリア州、あるいは双方のロックダウンがまだ続いていれば、9月半ばから債券買い入れを縮小する決定を撤回するだろう」と予想した。
多くのアナリストは豪経済が第3・四半期にマイナス成長に陥ると予想している。景気縮小は昨年6月以来となる。
ANZ銀行のエコノミスト、デービッド・プランク氏も、豪中銀が7月理事会の議事要旨で債券買い入れプログラムの柔軟性を強調したと指摘し、理事会が縮小決定を8月に再考するシグナルだと述べた。
NABのタパス・ストリックランド氏は、8月の理事会は債券買い入れ縮小の撤回または延期について議論する可能性のある「ライブな」会合になると予想。
ウエストパックのチーフエコノミスト、ビル・エバンズ氏は、9月から11月にかけて債券買い入れを一時的に60億豪ドルに引き上げるのが適切な対応だという見方を示した。