[ワシントン 27日 ロイター] - 米疾病対策センター(CDC)は27日、新型コロナウイルス感染抑制に関するマスク着用の指針を見直し、感染が深刻な地域ではワクチン接種を完了していても、屋内ではマスクを着用するよう勧告した。感染力の強いデルタ変異株の流行によって国内で感染者が増加していることを踏まえた措置。
さらに、幼稚園から高校3年までの全ての生徒と教師について、ワクチン接種の有無にかかわらず、マスクを着用するよう呼び掛けた。これまでは未接種の生徒のみマスク着用が必要としていた。
米国ではコロナ感染者が再び増加しており、1日当たり新規感染者数の7日平均は5万7126人となっている。デルタ株は国内の感染者の80%以上を占める。
CDCによると、米国内の63%の郡がマスク着用が必要と見なされる感染率の高い地域という。マンハッタンやロサンゼルス、サンフランシスコ、フロリダ州全域などが含まれる一方、シカゴやデトロイトは該当しない。
CDCの勧告に強制力はなく、特に共和党支持者の多い州などでは多くの人が指針に従わない可能性がある。少なくとも8つの州は学校でのマスク着用義務付けを禁止している。
アリゾナ州のデューシー知事(共和党)は声明で「アリゾナはマスク義務化を認めない。これは法制化されており、変更されることはない」と述べ、CDCの指針を拒否した。
CDCは5月、ワクチン接種を完了していれば、屋外および屋内の大半の場所でマスクの着用は不要との認識を示していた。
当時、感染者数は減少傾向にあったが、その後ワクチン接種は急速にペースを落とし、ワクチンを受ける資格のある人で接種を完了したのは58%にとどまっている。
CDCのワレンスキー所長は記者会見で、接種完了後に感染した人のウイルス量が未接種者と同程度であることが最新の研究で分かってきたとし、ワクチンを接種していても他の人に感染を広げる可能性があると注意を促した。
バイデン大統領は、全米規模でのロックダウン(都市封鎖)再導入を回避するためにも、デルタ株が流行している地域でマスク着用やワクチン接種を広めることが最良の策と強調。さらに、全ての連邦政府職員にワクチン接種を義務化する案が検討されていると明らかにした。