[オタワ 17日 ロイター] - カナダで9月20日に実施される総選挙では、新型コロナウイルスを巡る懸念から郵便投票が急増する見通しだ。ただ、登録手続きが複雑なため投票意欲が抑制され、トルドー首相率いる自由党による下院の過半数獲得に影響が出る可能性もある。
世論調査会社によると、主に自由党支持者や左派の有権者が郵便投票を望む一方、保守派は投票所での投票を好むという。ただ、自由党関係者の間では、手続きの煩雑さから支持者が郵便投票を利用せず、投票自体を断念する結果になるのではないかという懸念がある。
カナダの連邦議会選挙では、郵便投票の実質的な歴史がない。2019年の選挙では、投票者数1840万人のうち郵便投票は5万人弱で、大半が海外在住者だった。
だが今回は新型コロナを巡る懸念から有権者2700万人のうち400万─500万人が郵便投票を選択する可能性があると、連邦選挙管理局は予想している。
郵便投票を希望する人は連邦選挙管理局にオンラインか郵送で身分証明書の写しを送り、特別な投票用紙を申請する必要がある。
自由党関係者は、この手続きが高齢者の郵便投票の意欲を低下させ、コロナ感染への警戒感から投票所にも行かない可能性があるという懸念を示した。高齢者は他の年齢層より投票率が高い傾向にある。
調査会社EKOSリサーチのフランク・グレーブス氏は「郵便投票への支持は新民主党と自由党の支持者の間で比較的高く、保守党支持者の間で最も低い」とし、左派を中心に有権者の約20%が郵便投票を希望していると指摘した。
その上で「(人々が許容できる以上に)郵便投票が困難な場合、保守党への打撃が最小になるだろう。彼らはそもそも郵便投票を広く利用するつもりがないためだ」と語った。