[ブリュッセル 6日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のジェンティローニ委員(経済担当)は6日に欧州議会で、租税回避や脱税に対処するための新たな法案を年内に提示すると明らかにした。
「パンドラ文書」と呼ばれる大規模な税関連データが今週報じられたのを受け、欧州議会本会議に議題が追加された。同文書は、富裕層や権力者が納税額を減らすためにオフショア企業を組織的に利用し続けていることを示した。
税効率の最適化は必ずしも違法行為ではないが、特に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による経済危機から世界が立ち上がろうとしている中、富裕層が税務面の助言を受けて納税額を低減していることを疑問視する向きが増加している。
ジェンティローニ氏は欧州委員会が脱税や租税回避との闘いを続け、各国の税務当局間で交換する必要のある情報を拡大するための新たなルールを提案すると表明。「税務上の(経営実態を確認できない)シェルカンパニーの悪用に対処するため」年内に提案するとした。これは以前から欧州委員会の予備議題に含まれており、12月22日に発表するとしているが、その詳細については触れなかった。
ジェンティローニ氏はまた、欧州委員会が「一部の多国籍企業が支払っている実効税率の公表」に関する新たなルールを提案することも明らかにした。
タックスヘイブン(租税回避地)のEU域内のブラックリストが9地域にとどまっているのを議員が批判したのに対し、ジェンティローニ氏はリストは成果を上げているとしながらも、リスト基準の見直しが必要となる可能性にも言及した。
現在の基準では、EU域内を含むほぼ全ての主要なタックスヘイブンが除外されている。