[ジュネーブ 7日 ロイター] - トマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権状況特別報告者は、新型コロナウイルスが流行する中、国際的に孤立している北朝鮮で飢餓が起きるリスクがあり、同国の核・ミサイル開発に対する国連の制裁を緩和すべきだとの報告書をまとめた。
ロイターが報告書を入手した。報告書は22日に国連総会に提出される。
報告書は、人道状況が悪化し、危機に発展するリスクがあると指摘。北朝鮮市民の窮状に対し、世界的に「無関心な傾向が強まりつつある」との見解を示した。
「人道支援と人命救助を進め、一般市民が適度な生活水準を享受する権利を促進する上で必要な場合は、国連安保理が科した制裁を見直し、緩和すべきだ」としている。
報告書によると、中国との国境付近の商業活動に依存していた多くの北朝鮮市民が収入を失っており、制裁で事態が一段と悪化している。
報告書は「食料入手が深刻な問題になっており、最も弱い子供と高齢者が餓死するリスクがある」と指摘。「必要不可欠な医薬品や医療品の供給が不足しており、中国からの輸入がストップしたため、価格が数倍に跳ね上がっている。人道支援団体も医薬品などを持ち込めない状況だ」としている。