[ニューヨーク 7日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は今週、新型コロナウイルス感染者の一部の人が長期間悩まされている後遺症(ロング・コビット=Long COVID)の定義を発表した。科学者らは現在も症状の把握と解明に努めているところだ。これまでに分かったことは以下の通り。
<後遺症の定義>
WHOは後遺症について、通常は感染の疑いが強まって、あるいは感染が確認されてから3カ月以内に発症し、少なくとも2カ月続くが、他の病気で説明できない症状を指すと説明している。症状は感染中に始まるか、急性期から回復した後初めて出てくる。
長引く症状で最も多いのは倦怠感、息切れ、認知障害。また胸の痛み、嗅覚・味覚障害、動悸などもある。後遺症は全般的に、日常生活をおくる機能に悪影響を及ぼしている。
WHOの定義は、今後新たな証拠が提示され、新型コロナウイルスの影響に関するさまざまな理解が進むとともに修正される可能性がある。WHOによると、子どもについては別の定義が適切かもしれないという。
<発症率>
後遺症に悩んでいる人の正確な数は分かっていない。オックスフォード大学が新型コロナウイルス罹患者27万人強を対象に行った調査では、少なくとも1つの後遺症があると判明したのは全体の37%で、入院を必要とした人の方が後遺症を抱えている割合が大きかった。
ハーバード大学の軽症ないし無症状だった罹患者5万2000人余りに対する調査によると、65歳未満の人により多く後遺症が見受けられることが示唆された。
ロイターが集計した世界全体の新型コロナウイルス感染者の累計は2億3600万人超となっている。
<他の研究結果>
医学専門誌ランセットが公表した調査に基づくと、退院から12カ月経過した中等症患者の20─30%、重症患者の最大54%がなお肺機能に問題を抱えている、と中国の研究者が報告している。
先のハーバード大の調査では、新型コロナウイルス罹患者の間では、それ以外の人より新たに糖尿病と神経障害の診断を受ける割合が大きいことも分かった。
<後遺症から回復するか>
後遺症の多くの症状が治まるまでには時間がかかる。それは急性期の症状の深刻度に関係はない。ランセット公表の調査によると、少なくとも1つの後遺症がある人の割合は半年経過時点で68%、1年後にはこれが49%に下がった。
WHOは、後遺症の症状は時間とともに変化し、当初改善した後にぶり返すこともあると述べた。
<ワクチンの効果>
幾つかの小規模な調査からは、ワクチン接種後に一部の後遺症患者の症状が改善したことがうかがえる。米疾病対策センター(CDC)は、ワクチンの後遺症に対する効果を判断するにはより多くの調査が必要だとの見解を示した。