[東京 14日 ロイター] - 10月のロイター企業調査によると、政府が経済対策のために大規模な補正予算を編成することについて、9割近くの企業が賛成と回答した。ただ、バラマキにならないように予算の配分は慎重に議論すべきとの指摘も見られた。また、約半数は新型コロナウイルス対策の必要性を訴えており、新政権にワクチン安定供給や治療薬を期待する声もあった。
調査期間は9月29日から10月8日まで。発送社数は503社、回答社数は260社程度だった。
岸田文雄首相は経済対策ついて「衆院選後、速やかに決定できるようにする」とし、コロナ対応に加えて、数十兆円規模の対策を年内に策定することを明言している。
政府が経済対策を取りまとめるに当たり、87%が大規模補正予算に「賛成」と回答、「反対」は13%にとどまった。補正予算の規模については「5兆─10兆円未満」が25%と最も多く、「10兆─15兆円未満」が23%、「15兆─20兆円未満」が17%と続いた。
対策を講じる場合には、適切な財源使途を求める声が多い。「経済復調のための景気対策は必要と考えるが、バラマキはやめてほしい」(化学製品)との声や、コロナで打撃を受けた業界への救済は必要だが「単なる延命措置・焼け石に水とならないようにして欲しい。どこに予算を投じるのかは慎重に議論すべき」(輸送用機器)などの指摘が出ていた。
日本経済の競争力を保てるような成長戦略に基づいた予算配分や、「半導体サプライチェーン強化のため」の支援を求める声(電機)もあった。サービス業からは、「Go Toトラベル」再開への期待感も示された。
経済対策の中身に最も必要なものとして、49%と半数近くが「新型コロナウイルス対策」と回答、次に多かったのは15%の「飲食・観光業支援」、続いて12%の「環境対策(省エネ、脱炭素等)」だった。「企業・個人への給付金」は7%、「子供手当・教育費補助等」は5%にとどまった。
「飲食・観光業界への手厚い支援と内需拡大策は必須だが、それもワクチンの供給安定と国産治療薬が基礎にあってのもの」(卸売)などといったコメントが多く、コロナ対策に期待する声は多くの業種で出ていた。
再生エネルギー・脱炭素については「日本が国際的競争力を保ち今後の世界をリードできるように積極対策を希望する」(輸送用機器)との声があった。
10月19日公示・31日投開票が行われる衆院選挙の望ましい結果については、自民党・公明党による安定政権を望む回答が多く、コロナ対策や経済の安定への期待がにじむ。
回答は「自公で安定多数」(244議席以上)が41%、「自公で過半数」(233議席以上)が26%を占めた。8月調査で同様の質問をした際には、それぞれ29%、33%だった。
多数派からは「海外の信用、信任をえるためにも安定した政権運営が必要」(金属)、「まずは安定した国会運営による継続した経済対策が必要」(小売)との指摘があった。