[ロンドン 5日 ロイター] - バーゼル銀行監督委員会は5日公表した報告書で、銀行が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下でも資本バッファーに大幅に頼ることなく顧客への融資を継続できたことから、資本バッファールールを直ちに改革する必要はないとの見方を示した。
危機下における資本バッファーの「有用性」を分析したこの報告書によると、銀行は貸倒引当金に関する規則が厳しくなったにもかかわらず、融資を継続するためにこれらの準備金に手をつける必要がなかった。
バーゼル委は声明で、「流動性バッファーの活用を渋る銀行が融資や市場活動に影響を与えたという証拠は限られており、予想信用損失(ECL)枠組みの導入に関連したパンデミック下の融資へのプロシクリカル(景気増幅)効果の兆候はほとんど見られない」と指摘した。
バーゼル委は20カ国・地域(G20)などの銀行規制当局のグループで、いわゆるカウンターシクリカル資本バッファー(CCyB)も支持している。CCyBは世界的な金融危機の後に導入されたもので、市場が悪化した際に使えるように好況時に蓄えておく準備金だ。
バーゼル委は、内外の衝撃の影響を和らげるために、銀行がバッファーを慎重に積み上げ、利用することの重要性を強調。「コロナ危機下で一時的な資本要件の緩和が融資を支えたことは分かったが、CCyBの放出については証拠が弱く、CCyBの使用が限定されたことを反映しているかもしれない」と指摘した。