[チューリヒ 15日 ロイター] - スイス政府は15日、今年と来年の成長率予測(スポーツイベントの影響調整後)をそれぞれ1.1%、1.5%で据え置いた。エネルギー価格の下落を背景に年初の経済が好調だったと指摘した。ただ世界的なインフレ圧力や景気リスクがくすぶっているとの認識も示した。
予想では今年の成長率は昨年の2.0%から鈍化する。また今年・来年とも、2012年から新型コロナウイルス禍前の19年の平均1.8%を下回る。
経済省経済事務局(SECO)は「スイス経済は今年、力強いスタートを切り、エネルギー価格の下落が続いている」とし、内需、個人消費、輸出の増加を指摘したが、「現在の指標は複雑なシグナルを発しており、第2・四半期は全体的な失速が予想される」と述べた。
UBSのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は、政府の予測はおおむね自身の予想と一致しているものの、来年の予測はUBSの予測(1.3%)より楽観的だと指摘した。
「米国は今年末か来年初めにリセッションになるリスクがあるとみており、そうなればスイスの輸出の減速が見込まれる。しかしSECOは米国の成長、ひいてはスイス輸出について相対的に強気だ」と述べた。
SECOは今年のインフレ率予想を2.4%から2.3%に下方修正し、来年は1.5%と予想した。昨年は2.8%だった。
一方、KOF経済研究所は、23年の成長率予測を1.1%から1.2%に引き上げ、来年は1.7%に据え置いた。全体の活動が停滞しているにもかかわらず労働市場が堅調と指摘した。
スイス国立銀行(中央銀行)は22日に金融政策と経済予測を発表する。